2009/01/29

即興についてのブレインストーミング

けっこう昔から、即興に興味がある。ここで言う「即興」というのは、ジャズの即興とは違う、いわゆる「フリーの即興」というやつ。無音の空間や、限られた背景の中に音を並べて、音世界を構築する例のアレである。サクソフォンを媒体とした即興演奏は、国内のサクソフォン界では平野公崇氏が積極的に取り上げ始め、現在では大石将紀さんなどもそれをさらに推し進めた形で披露している。

自分が即興演奏というものを意識して初めて(実演・録音問わず)聴いたのは、いつが最初だったかなあ。平野さんの「Jurassic」かな。実演で初めて聴いたときのことは良く覚えているのだが。Saxcherzetの第1回の演奏会で、ラージアンサンブル版のミヨー「スカラムーシュ」を取り上げていたのだが、2楽章の終わりから3楽章の始まりまでを、平野さんが即興で繋いだのだ!CDとは比較にならない、大きな衝撃を受けた。

ここ数年くらいで実演で聴く機会は増えてきて、2007年のサクソフォンフェスティバルにおける平野公崇さんと坂田明さんの即興対談と演奏、2008年では姜泰煥×高橋悠治×田中泯×斉藤徹の「ブレス・パッセージ」、大石将紀さんと保坂一平氏の舞台「蛹化の女」、平野公崇さん×ヴァンサン・ダヴィッド氏のコンサートでのアンコール等々…。一つ一つの舞台が、自分に対して大きな衝撃と感動を与えたものばかりだ。



そうなってくると、「よし、自分でもやってみよう!」とか思って、楽器を構えてプーとかペーとか音を出してみるのだが、やってみては「???」の繰り返し。独奏でやる即興って、なんだか良く分からんのですよ。ううむ。じっと音を並べていると、12音的ではなく、やはりなにか旋律っぽいものが形作られたりするのだが、これで良いのかなあと思いながら、やっぱり頭の中は「???」が並ぶ。

わからないながらに、自分ともう一人、2人で一緒に音を出してみる。不思議とストレスを感じないこともあるし、水の掛け合いになってしまうこともある。時には、驚くような音が出る瞬間があるけど、聴いてるほうにとってはそうでないのかもしれない。耳をオープンにして、かなり慎重にやりつつも、熱くなってくるとそれだけではなくなったり。2人の次は3人で、とやろうとすると、どうしても耳が片方にしか追従しないとか。

それから、即興では何をやるにしても、自分をさらけ出してしまう。おかげで、終わった後はゼエゼエです。これは、楽譜をなぞるだけでは、なかなか味わえない感覚かもしれない。あと、楽器のことだが、テナーとアルトを比べると、アルトを使用したほうが楽のような…気がする。使用する息の量に関係することだろうとは思うが。あと、循環呼吸ができると便利なのかも(自分はできない)。

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そんなこんなでいろいろやってみるのだが、まあ結局良く分からないのがもどかしい。きっと何が正しくて何が正しくない、という線引きは存在せず、出てくる音楽が良ければ/つまらなければ、良い即興/悪い即興だということなのだと思う。演奏の中間層を構築する、常套手段がないということにもなるのだろう。

パリ国立高等音楽院には即興のクラスがあるというが、どんな講義が行われているというのか。洗足学園音楽大学でも、平野さんが即興の授業の講師を務めているということだが、どのようなアプローチで即興を行っているのだろうか。

…どなたか、即興のレッスンをつけていただけないでしょうか。お願いします(切実)。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。大石です。
    即興ワークショップをするので
    思わず書き込んでしまいました。
    でも神戸なんですが。
    詳細は www.m-oishi.com を!

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  2. > 大石さん

    神戸ですか!(^^;ちょっと遠すぎますかねえ…(苦笑)。また、いつか関東近辺でやっていただけることを期待しています!

    以前、長野の日置あゆみさんのソルフェージュ教室でワークショップやってらっしゃいましたよね。長野に住んでいる私の妹はアマチュアでオーボエを吹いており、勧めてみたところけっこう興味を示していました(その時は都合がつかず、行けなかったようなのですが)。

    3/1の新作演奏会、楽しみにしています。次の日のノマドもぜひ聴きに行きたいですね~

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