2009/01/27

ラヴェル「クープランの墓」を聴く

サックスクワイヤーで取り組んでおり、本番が週末に迫っているため、ざっと手元にある録音を聴き比べてみた。普段であれば、本番が近付くほどに録音を聴かなくなるほうなので、我ながら珍しい傾向である。

・サクソフォンアンサンブル版(ミ=ベモルSE)

なんつうか、凄い。自分たちで演奏しているのもこの版であるため、より難しさを解っているのだが、何ですか、このそこら辺の4重奏よりもよっぽど高精度な演奏は。確か編成としては、20人くらいいるはずなのだが…。音色やダイナミクスの変化は、サクソフォンのラージアンサンブルらしく、比較的少ない。面白みに欠けると言えばそうだが、ここまでやられてしまうと、何も言えなくなってしまう。いやはや、降参です。

・ピアノ版(サンソン・フランソワ)

サンソン・フランソワと言ったら、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団(ソシエテ)と演奏したラヴェル「ピアノ協奏曲」「左手のための協奏曲」が有名で、私もその演奏が印象深いのだが、独奏をきちんと聴くのは久しぶりだ。こういうのをフランス的な演奏と言うのだろうか。細かいところでは時々弾き飛ばしまくり、ここって楽譜と違うんじゃないのか…と思うこと数度。しかし何なんだろうな、この耳を惹きつけて離さないルバート、信じられないほどの音色の変化は。驚くほどの声部の分離は、まるで2人か3人の気まぐれなピアニストたちが絶妙なアンサンブルを繰り広げているような気にすらなる。

・オーケストラ版(ジャン・マルティノン指揮パリ管弦楽団)

パリ管弦楽団は、由来となったソシエテと比較し、かなりインターナショナライズされたオーケストラだ、とも言うけれど、この録音を聴いているうちはそんなことは微塵も思わない。管の音色だってフランスのそれだし(Thunderさんの記事によると、オーボエはモーリス・ブルグ氏だそうだ!)、眼前で水しぶきを上げる弦楽器の響き。うーん、素敵だ。これこそ、スナップショット的な魅力、というやつの典型だと思う。

そういえば、ソシエテのCDはどこにしまったっけな。もしかしたらクープランの墓が入ったCDは、まだ買ってなかったかも。マルティノン×パリ管と、クリュイタンス×ソシエテのラヴェル管弦楽全集は、そのうち買い揃えないとなー。買い揃える、なんて、言葉は大層なものだけれど、現在では両方CDで手に入れても1万円でお釣りがくるだろう。凄い時代だ。

2 件のコメント:

  1. クリュイタンス・パリ音楽院管のラベル全集の英初版LPは4枚箱入りで発売され、すぐにばら売りされました。
    20年以上前に国内の店で新同品を、今思えば信じられない格安で購入しました。
    再生装置が完成するまではと思い、まったく聴かずにいたのですが、先日遂にCDRに録音いたしました。(装置が完成したのです)
    このコンビによる最大最高の、信じられない演奏音色です。
    近日中にお送りしましょう。
    今まさに演奏中、の雰囲気が楽しめます。
    これが初版盤の特徴です。
    ボレロのサックスは、音色からヌオーとテリーではないかと思われます。

    楽しみにしていてください。

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  2. > 木下直人さん

    コメントありがとうございます!木下さんからブログ上にコメントを頂戴できるのは、初めてだと思います。

    ついに初版の復刻が完了したのですね!昨年伺ったときに見せていただいた、あの青い衣装の人物画が描かれているものですよね。こんな状態の良いものがあるのかと驚きました。

    その後に聴かせていただいた「スペイン狂詩曲」のLPはたしかEMI France盤だったはずですが、あれを超えるものなのかと、今からワクワクしています。

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