2008/12/02

Marcel Mule「La Légende」

私がわざわざここで紹介するものでもないのだが、ついさっき、ふとブログで取り上げたくなったの。手に入れたのは高校の時。同期だったフルートの女の子から「こんなのがタワレコで売っていたよ」と紹介されて、その数ヶ月前にミュールに触れて大ショックを受けた後だったので、親にねだって買ってもらった(値段もはっきりと覚えている…4,590円だった)。その子がなぜわざわざこのCDを薦めてくれたのかは、今だに謎である。結果的に、大変良いタイミングで買えたのだけれど。

そのころの私は、クレストンもボノーもモーリスも、とにかくこのCDに収録されている作品をほとんど知らなかった。さすがに、クライスラーをヴァイオリンで聴いたことくらいはあったけれど…。このCDにおいて復刻されたミュールの演奏が、私自身の刷り込みであると考えると、なんだか可笑しくなってしまう。21世紀にもなって、初めて聴くクレストンやモーリスの演奏がミュールの演奏だという人なんて、果たしてどれくらいいるんだろう。

P.クレストン - ソナタ作品19
P.ボノー - ワルツ形式によるカプリス
P.モーリス - プロヴァンスの風景
A.グラズノフ - サクソフォーン四重奏曲作品109(抜粋)
P.M.デュボワ - ディヴェルティスマン
F.シュミット - サクソフォーン四重奏曲作品102
E.ボザ - カプリス
マルセル・ミュールのスピーチ
J.S.バッハ - フルートソナタ第6番(抜粋)
P.ランティエ - ユースカルデュナーク
A.ボルサリ - サクソフォーン四重奏曲
E.グラナドス - 「ゴィエスカス」より間奏曲
J.イベール - 室内小協奏曲
F.クライスラー - 愛の喜び

この通り、選曲が実に豊か。オーソドックスなレパートリーを、ミュールの演奏で聴くことができるのだ。製作はフランスのサクソフォン協会。タワーレコードやアクタスで取り扱っていたけれど、国内ではどのくらい売れたのだろうか。一時期Arizona University Recordingでも扱っていたが、今はもう売り切れ。もったいないことだ。

独奏の録音はとにかく、快活。音楽は渓流のように飛沫を振りまきながら流れ、聴き手としては爽快そのものである。ミュールがポピュラリティを得た一つの理由として、その目まぐるしいまでにフレーズを畳み掛ける驚異的なテクニックがあるのだが、それをオリジナル作品で体感することができるという点で、貴重だ。グリーンドア音楽出版のCDは、まだ入手できるのだろうか。でも、あちらにはクレストンやモーリスは入っていないんだよなあ。そして、ところどころに挟まれている四重奏が、実に渋い。私自身のシュミットの刷り込みはデファイエ四重奏団のEMI盤だが、この演奏も同じくらい好きだな。

手に入らないものを紹介しても…と思ったが、やはり取り上げられずにはいられなかった。読み返してみると、CDの記事というより、なんか音楽雑感の記事っぽいですな。

2 件のコメント:

  1. へぇぇぇ、そのようなCDがあるのですか!
    ボザのカプリスを今やっている身としては非常にきになるところです… バカ速そうなイメージが…(^^;)
    ちなみに私は全っっ然指が回らなくて前に進みませんー(_ _;)

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  2. > K.K.さん

    ええ、めっちゃ速いですよー。
    ミュールのソロ演奏って、非音楽的になるギリギリ一歩手前の速度で駆け抜けるもんですから、聴いていてとにかく爽快です。四重奏はそんなことないんですが。

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