2008/12/13

吹奏楽について書く(その2)

前の記事の続き。

私は吹奏楽が好きだ。少し離れてみて再認識したのだが、ちょっと探すだけで素晴らしい作品がざくざく出てくるし、様々なジャンルの境界を無尽に駆け回ることのできる身軽さ、といったところに魅力を感じる。演奏側としても聴き手としても楽しい。

だから吹奏楽はひとつの音楽ジャンルとして、これからも確立されていって欲しいと思っているし、そのためには吹奏楽に関わる全員が、一丸となって問題提起をしながら良い方向へと進んでいくべきなのだと思う。そして、おそらくその軸になるのは、コンクールなのだ。吹奏楽コンクールを軸とすることで、技術の向上、レパートリーの拡大を推し進めていく大きな流れを作ることができる。

演奏効果ばかりをねらい、審査員受けだけを良くしたような「なんだかよくわからない作品」は、吹奏楽というジャンルの循環系における癌だ。こいつが実にやっかいで、、、ほっとくとどんどん殖えるし、良いレパートリーを喰い潰していってしまうし、それによってお金を手にした作曲者は、また「なんだかよくわからない作品」を書いて、という風に、上手く循環の流れに入り込んで自らを増殖させていくという…。

そのおかしな流れを食い止めたいという願いがある。吹奏楽が本来持つ優良なレパートリーを、コンクールの場で積極的に循環させていきたいのだ。それはそのまま、優れたCDや楽譜が絶版になり「なんだかよくわからない作品」ばかりが売れまくる…という状況を改善することにもつながるし、ひいては吹奏楽というジャンルの地位向上につながるはずだ。

そのための布石として、コンクールにおいて自由曲となっている枠を、選択曲にするということを考えてみた(以前もこの)。まあ実現しなさそうな考えではあるが、構想としてはこんな感じだ:

・識者(できれば、吹奏楽畑以外の音楽家が多いほうが望ましい)からなる選曲委員会を組織して、難易度様々な500曲以上のリストを作成する。
・リストには、楽譜の出版社や入手先、参考演奏CDなどの付随情報を十分に掲載する
・連盟に加入している団体に、そのリストを配布して、その中から演奏作品を選んでもらう

と、これだけ。例えばそんな多忙な音楽家の方に500曲も選ばせるのは無理ではないのかとか、まあいろいろ問題はあるのだが、実現したら面白そうだ。単なるリストではなく、作品データや楽譜の出版社などを載せることにより、商業的にも特に優良な出版社に向けてカネが回るようにするという狙いがある。選択性についてはほかにもいろいろ妄想があって、最初の年度は50曲くらいにとどめておき徐々に増やしていくとか、楽譜のレンタルについて上手いシステムを考えるとか、思いつくことは多い。

見かけの循環に惑わされずに、つまらない方向やわけのわからない方向ではなく、もうすこし面白い方向に進んでほしい。しかもコンクールを軸として。吹奏楽に対する私の願いだ。

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