2008/07/03

面白い曲目解説

Ensemble TXの演奏会用パンフレットを製作中。プログラムリスト、曲目解説、出演者・スタッフリストなどの内容以外に、パンフレットのデザイン、レイアウトあたりまでは私の担当である。Tsukuba Saxophone Quartet - Saxophone Concertのときに作成したパンフレットのレイアウトを基にざくざくと構成してゆく。ちなみに、Microsoft Publisherなどを使用せずとも、Microsoft Wordで十分だ。

おおよその方針としては、表紙を含めて8ページ、ページあたりA5=見開きA4。A4用紙2枚を使用してホチキスで真ん中を留める感じだろうか。見開きページの集合写真撮らないとなー。

さて、パンフレットを製作する中で、やはり一番時間がかかるのは曲目解説。ある意味では、曲目解説なんてものは、実際にその曲を聴いたことがなくても、作曲者とタイトルと編成だけわかれば、なんとなく書けるものかなと思う。あ、もちろんサクソフォンの作品に限っての話だが。

なぜかと言うと、サクソフォンの世界には「A Comprehensive Guide to the Saxophone Repertoire」というロンデックス氏の著作があり、この目録を手繰るだけでたいていの情報が引っ張り出せるからである。楽曲や楽章ごとの名前を基に曲想を推測し、さらに作曲年代や献呈先の情報を基に作曲者周辺のエピソードなどを掻き集めれば、あら不思議、いちおう筋の通った曲目紹介を書くことができるのだ。

まあ、こうして書いた紹介は、たいていの場合あんまり面白くないものになってしまう。以前、阿吽の演奏会に提供したラクールの「Suite en duo」の楽曲解説…他所での仕事に忙殺されていたためか、今見返してもひどい…。そういえば、他の2曲はまだしも、ラクールに関してはずいぶんとやっつけ仕事をしてしまったのだなあ。

読んで面白い曲目解説とは、どういうものだろう。「面白い曲目解説」と言われて、私が真っ先に思い出す、雲井雅人氏の文。そして、サックス界の大御所を挙げるとするならば、上田卓氏、木幡一誠氏といったところ。さらに、トルヴェール周辺ならば、緒方英子氏、磯田健一郎氏。

ここで挙げた人は、それぞれタイプは違うけれど、きっと一貫していることは作品に対する思い入れの強さだろう。作曲者や作品に関する情報は、二の次。面白い曲目解説というものは、面白さを他人に伝える作業であるのだから、まずは自分がその作品に没入する必要があるのだ。そこまで出来たら、次は面白いところを見つける作業…作業というか、没入すれば自然と面白さは発見できるものではないかな。

例えば、先の阿吽の演奏会の曲目解説だったら、サンジュレはちょっと上手く書けたかなと思っているのだ。ここでは、サンジュレがベルギー人だったことに注目した。アドルフ・サックスとサンジュレが、同じ出身地を持つことが、私にとっては驚きだったのだ。その情報を皮切りとして、サクソフォンの黎明期のエピソードから、サンジュレとサクソフォン界との関わりを中心に話を展開した、ということになる。

そして、人を惹きつけるる文体。面白いところを発見するだけではもちろんだめで、自分のなかでいったん咀嚼して、自分の文章力を使ってアウトプットするのだ。これに関しては、まだまだ修行が足りない。

私も日々精進しようと思う。よーし、曲目解説書いてほしい方がいらっしゃいましたら、メール下さい(笑)。頑張って「面白い曲目解説」を目指して書こうと思います。

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