2007/11/22

上野耕路「Chamber Music」(アルモSQ参加)

マイナーではあるが、個人的にはかなりの名盤じゃないかと思っているCD。上野耕路氏の作品集「Chamber Music(Synergy Inc. SYDA-007)」。日本の80年代~90年代音楽シーンの中、「ゲルニカ」結成を始め、特徴的な活動を続けた上野耕路氏だが…あ、そんな紹介よりも、「た~らこ~ た~らこ~」の作曲家だと言ったほうがおなじみか(^^;このCDは上野氏がサクソフォンのために書いた作品を含む3曲を集めたディスクである。

・コノテーションズ
・N.R.の肖像
・サクソフォーン四重奏曲

「コノテーションズ」は、アルトサックス、ヴァイオリン、ギター、エレクトロニクスのための音楽。のっけからポップで毒々しい響きにやられるが、日本の音楽界が自分の立ち位置を模索し続けているなかから生まれた、実に面白い音楽。ちなみに清水靖晃氏がサックスで参加している。調性を感じられる響きで、ずっと聴いているとトリップしそうだ。

続く、アルモ・サクソフォン・クヮルテットが参加した2曲も、ものすごく面白い!「N.R.の肖像」と言えば、アルモの5thアルバム「革命児(Meister Music)」にも収録されていたが、こちらのほうが楽しく聴けるかも。ある種の悪ノリとも取れるような、アルモにしてはハイテンションな録音で、「革命児」でなんとなく印象に残らなかった仕掛けが、生々しく迫ってくる。

「サクソフォン四重奏曲」も名曲&名演奏!始まった瞬間は「N.R.~」よりもシリアスな曲想かな、とも思うのだが、第1楽章、アリアを経たフーガへと突入した瞬間、何ですかこのノリノリ感。解説によればジャズ風のフーガ、とのこと。第2楽章も、初っ端から行進曲風の人を喰った遊びが楽しい。めくるめくスタイルを変えながら駆け抜ける、マジメだけれどエンターテインメントな10分間。楽しい!思わず体を揺らしてしまいそうな、躍動感に満ち溢れている。

演奏が良い上に、「N.R.の肖像」も「サクソフォン四重奏曲」も、かなりの名曲だ。日本産、いや世界を見渡してみても、こういったシリアスかつ楽しい作品て、なかなか存在しないのではないか。いいなあ、演奏してみたい(楽譜は出版されていないようなのだが)。

CDは残念ながら廃盤であり入手至難なのだが、ちょーっと探してみると、今のところここに出ているようだ。

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