2007/06/25

大学だから、できること

音楽大学に限ったことではないが、利潤の追求が第一なのではなく、特定分野に対して(利益率を無視して)深い研究を行う…というのは、「大学」という場ならではの特徴だ。厳しい競争を勝ち抜いてきた学生が、最高の先生方の下でプロとなるための教育を受け、学問(音楽)に対する深い追求を行う。そこには、若さならではの挑戦意欲、実験的要素といったものが溢れ、頭の固い大人が思いつかないような革新的な試みが、生まれては消えていく。

そういった、学究の場としての音楽大学から、もっと世間に向けて、情報を積極的に発信していって欲しい、という願いがある。

そんなことを考えたのは、原博巳さんのブログ経由でShobi Net-TVという試みを知ったからだ。これは、東京ミュージック&ビデオアーツ尚美で学ぶ学生、卒業生、そして講師陣が、世界へ向けて情報発信する場としての、ストリーミング形式のビデオサイト。まだまだリニューアルして日が浅いが、すでに様々なコンテンツがアップロードされており、同校の内部で行われているコンサートやライヴ、ビデオ作品などを楽しむことができる。

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ちなみにサックス的興味としては、講師の原博巳氏によるサン=サーンス「白鳥」、バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ抜粋」、中村均一氏によるバッハ「ソナタハ短調」、シューベルト「アヴェ・マリア」などの演奏が、大変興味深い(こちらから辿れる)。ちなみに、いずれもオープンカレッジ行事の一環として行われたものだとのこと。いずれも大変素晴らしい演奏!

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さて、音楽大学で行われる行事をこのような形でネット配信する、ということは、実に素晴らしいことではないか、と思うのだ。外部からしても、プロの卵がどのような活動をしているのかということは興味あるものだし、普段のコンサートでは聴けない(やや実験的要素を含む)試みを聴ける、というのも、貴重。情報を発信する大学側としても、学生のうちから世界へ向けて情報を発信できる、ということは大変な経験であるし(人に見せるコンテンツを作成するわけだから、クオリティを一定水準まで上げてくるのは当然といえば当然か)、さらに視聴者からのフィードバックなどを受けられるようになれば、など様々に良い点を挙げることができる。

Shobi Net-TVはまだまだ半分はテスト運用段階のようなイメージもあるが、例えば学内試験・卒業演奏会・学園祭コンサート・学生の自主企画コンサートなどを配信してくれるようになったら、とても面白いだろうなあ…と想像する。また、メディアアーツ尚美だけではなくて、他の大学でも積極的に同じような試みが始まれば、良いなあと。

ま、とにかく音楽大学からの情報発信の形式として、Shobi Net-TVはひとつの面白い試みだと思う。様々なレイヤにおいて何かのきっかけを生み出すような、理想が膨らむプロジェクトであることは、間違いがない。これからにも期待しましょう。

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