全日本吹奏楽連盟主催のアンサンブルコンテスト(通称アンコン)と言えば、多くの吹奏楽経験者にとってはおなじみの名前だろう。加盟団体のメンバーの管楽器による3重奏~8重奏、中学・高校・大学・一般・職場の部門別に分かれ、5分の制限時間内で技術力・表現力を競う場だ。私もかつては、中学時代に一回、高校時代に一回、大学時代に三回、エントリーし演奏した経験がある。
演奏した曲目はそれぞれ、中学のときは誰の作曲かわからない「夢」とかいう簡単な曲(バリトン)、高校ではデザンクロ「四重奏曲」の第3楽章(バリトン)、大学ではショルティーノ「異教徒の踊り」(バリトン)と、デザンクロ「四重奏曲」の第1楽章、第3楽章(いずれもテナー)。…改めて並べてみても、ベタベタな選曲だなあと思うのだが(デザンクロとかショルティーノとか、いかにもという感じだ)、今回はこのアンコンにおけるレパートリーについて考えてみたい。ただし、サクソフォーン四重奏限定で。
アンコンにおける、サクソフォーン四重奏のレパートリーと言うと、何が思いつくだろうか。デザンクロ「四重奏曲」、リヴィエ「グラーヴェとプレスト」、ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」なんかは、名曲中の名曲として、演奏していて楽しい曲、そして何より"勝てる"曲目として、大変演奏頻度が高い。さらに、リュエフ「四重奏のためのコンセール」、ボザ「アンダンテとスケルツォ」、ベルノー「四重奏曲」あたりが、それらに続いていると言えるか。
また、ショルティーノ「異教徒の踊り」やサンジュレ「四重奏曲第一番」、ジャンジャン「四重奏曲」は、前述の曲に比べて難易度が抑えられているということもあり、中学生~高校生での取り組みが多く見られる。これらの曲目で勝ち上がってくる団体も、中にはある。
…このくらいか?きちんと統計を取ったわけではないが、全国的に眺めてみると、上記の曲目の割合が突出しているのではないかと思う。
最近では、イトゥラルデ「ギリシャ組曲」や長生淳「トルヴェールの彗星」、マスランカ「マウンテン・ロード」などが新たに取り上げられるようにはなってきたものの、良く取り上げられるレパートリー、また近年開拓されてきたレパートリーというのも、サクソフォーン四重奏の世界全体を見渡して考えると、いかに限定的であるかということがわかる。
「デザンクロの第3楽章ならば勝てる」という思い込み&5分の制限時間、による、ただならぬ悪循環が構築されてしまっているのか。限定され過ぎて、なんだかつまらないんだよなー。たまにポップスっぽい曲も聴くが(スペインとか、セカンドバトルとか)、個人的にはコテコテのクラシック分野におけるオリジナル曲こそ聴いてみたい。しかも、5分じゃなくせめて10分。
デュボワの「変奏曲」とか、シュミット「四重奏曲」、ラクール「四重奏曲」、フィトキン「STUB」、ドナトーニ「ラッシュ」、トーク「ジュライ」、ベネット「四重奏曲」、ゴトコフスキー「四重奏曲」、ロベール「テトラフォーン」、ロバ「ルフレ」、ティスネ「錬金術」、…む、まにあくー&プロ仕様になりすぎたが、このような曲が入り乱れるアンコン…面白そう(妄想)。いっそのこと、20~30曲程度の曲目の中からの、選択制にしてみるとか(絶対無理)!
また、レパートリーに対して影響力を持つ5分の制限時間に関してだが、県予選レベルからステージ審査にしなくとも、たとえば最初は録音審査にしてみるとか、いくらでも改善の余地はあると思うのだがなあ。大きな会場を押さえるのだって、毎年けっこう大変なんじゃなかろうかと思うが。
レパートリー(と、制限時間)については、思うところが多すぎる。今回は「雑考」レベルに留めておくが、私が考える理想のアンコンについて、時間があったらまとめるかも。…あくまで私が考える、というところがポイント(笑)。
こんばんは。サックスを吹いている高校生です。アンコンの曲でバラード・フォー・トルヴェールをやろうと思っているのですが、アンコンでこの曲をやることに対しての率直な意見をおきかせ下さい。お願いします。
返信削除「バラード・フォー・トルヴェール」は、限られた時間で技術力・音楽性をアピールするのに適した作品の一つだと思います。少々ポピュラー音楽的な要素が入っておりますが、楽しく練習できるのではないかと思います。
返信削除コメントを頂戴した記事は、9年前に書いたものですので、当時とは少し考え方も変わっております。