2007/03/04

ルディ・ウィードフトのCD

いくらサックスを吹いている方と言えど、ルディ・ウィードフト(ヴィードーフ) Rudy Wiedoeftの名前をご存知の方は少ないだろう。…いいや、最近では作曲家として演奏会プログラムにその名が載ることもああるだろうから、そうでもないのだろうか。まあ、どちらにせよ、長い間忘れ去られていた名前であることは間違いない。

1893年生まれのサクソフォニストで、1920~30年代にアメリカで活躍。ジャズともクラシックとも言えない、親しみのある自作のポップミュージックを演奏し、人気を博した。あのエジソンに協力し、レコーディングも行ったとのことだから驚きだ。

いくらサックス黎明期とはいえ「ポップスのサックス吹き」は巷に何人もいたと思われるが、彼が特に有名なのは、その驚異的なまでのテクニックゆえんである。幸いにも、ウィードフトの全盛期を切り取ったCDが存在する:1920年代の録音を集約した「Rudy Wiedoeft 'Kreisler of the Saxophone'(Clarinet Classics CC0018)」。

とりあえず、自作曲の「Valse vanite」あたりを聴いてごらんなさい。ミュールに先立つこと10余年、ここまでのテクニック・音色・音楽性を持ったプレイヤーが存在したとは!と驚くこと間違いなし。現代にあっても、これだけのテクニック持った人を探すのって難しいんじゃないか?忘れ去られてしまっていたのが、不思議なほど。

スラップタンギング、ベンド、ヴィブラート、高速なタンギングなど、今では珍しくもないが、この当時既にこれらの特殊奏法を独自に確立し、ガンガン使っていたと言うのも驚き。自作の「Sax-O-Phun」が、特殊テクニックの見本市のような曲で、なかなか面白い。自作曲以外に、収録されているクラシックの小品も、ヴィブラートを伴いながら綺麗に演奏されていて、素敵だ。

最近ではウィードフトの作品は再評価される兆しを見せているが、そのウィードフト自身の演奏を知る人も増えてくれればいいなと思う今日この頃。とりあえず、CDとして復刻してくれたClarinet Classicsに感謝。

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