2007/01/08

クリスチャン・ロバ Christian Lauba「Hard」

クリスチャン・ロバ Christian Lauba氏は1952年生まれのフランス人作曲家。彼は最初ヨーロッパの語学を学んでいたが、大学在学中に作曲に目覚め、ボルドー音楽院で作曲をMichel Fuste-Lambezat、ピアノをSuzanne Martyに師事した。その後、1984年ボルドー市SACEM賞、1994年ベルリン市作曲コンクール1位を各々受賞、作曲家としての地位を確立する。ロバの作品の多くを占めているのがサクソフォンのために書かれたものでこの曲以外にも「9つのエチュード」が有名。

この曲はフランス人サクソフォン奏者のジャン=ミシェル・グーリー Jean-Michel Goury氏のために書かれたテナーサックスのための無伴奏ソロ曲。初演は1988年の東京サクソフォン・コングレスで同じくグーリー氏によって行われた。

高度なテクニックを要する、10分近くにも及ぶ大曲である。ジャズやロックのエッセンスがふんだんに使われているせいか、現代の無伴奏曲にありがちな理解のしにくさはあまり感じられない。ジャズやロックに親しんだことのある人ならおそらく、どっぷりとこの曲の世界につかれるのではないだろうか。特殊奏法を駆使しながら最初から最後まで様々なパッセージが現れては消えを繰り返し、エンディングまで一気に駆け抜けていってしまう。

録音はいくつか存在するが、特にアルバム「reed my mind(BVHAAST CD 9304)」で聴けるアルノ・ボーンカンプ Arno Bornkamp氏の演奏はあまりの集中力の高さに驚かされる。いったん聴きはじめると否応なしに聴き手を曲の世界に引きずり込み、集中力を決して途切れさせることなく、最後の最後まで聴き手を放さない。こんなに集中力が高いものだから聴き手もそれに対抗して精神集中の状態で聴くため、1回聴き終わると疲れてしまう(いやホントに)。演奏者自身も相当疲れているんだろうけど。演奏の様子を生で観てみたいくらいだ。最近来日したという話を聞かないのだがぜひまた日本に来てほしいものである。

4 件のコメント:

  1. ロバについて書くために資料を探しておりまして、参考にさせて頂きます。ロバの経歴について、一般の大学に行っていたとありますが、恐れ入りますが出典を教えて頂けますでしょうか?

    私どものサイトもご覧いただければ幸いに存じます。
    http://www.peerlesspeers.com/

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  2. コメントありがとうございます。

    件の経歴「1972年より1977年までボルドー大学でヨーロッパの語学を専攻し、兵役を経て(彼の友人が勝手に申し込みをしたのをきっかけに)1980年にボルドー音楽院に入学」ですが、サクソフォーン奏者大石将紀氏の研究論文「クリスチャン・ロバ」の中で参照することができます。

    ただ、私がこのブログ記事を書いたのはその研究論文が書かれるより前ですから、ブログを書く際にはその論文を参照していないことになります。当時どの資料を参照したのかは、忘れてしまいました…すみません。

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    「20世紀の名曲を投票で」プロジェクトの集計サイト、拝見しました。大変興味深い内容だと感じました。個人的にはサックス関連作品が少ないのがさびしかったですが(笑)

    2008年の調査の折には、ぜひ参加させていただければと思います。

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  3. すぐにお礼を申しあげるべき処、失礼を致しました。
    ロバの件、有難うございます。私のほうでも自分の集めた資料を検索したり、ライナーノートを読み直したりして見て解らなかったので質問させて頂きました。また、kuri様には、サクソフォーン曲について教えていただくことがあると思います。よろしく御願い致します。

    私のブラウザ(Safari)の問題かもしれませんが、このブログのページを開きますとクラッシュすることが何度かありました。いちおう、ご報告しておきます。

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  4. こちらこそ、参考にしていただきまして光栄です。サクソフォン関連で、また何かありましたらぜひどうぞ、

    > ブラウザ(Safari)の問題かもしれませんが…

    ご報告ありがとうございます。Internet ExplorerとFirefoxでの閲覧確認しか行っておりませんでしたので、有難い情報です。念のため、ブログ上の記事においても問題の報告を募ってみたいと思います。

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