2007/01/06

フランスのコンクール事情

サックス大国フランスは、世界的に見ても とりわけサクソフォンのコンクールが多い地域だ。数々のジュニアコンクール、また、プロのためのコンクールとしては、UFAMやサクシアーナ、アドルフサックスといったコンクールの名前を日本でもたびたび耳にすることがある。ディナンのアドルフ・サックス国際コンクールだって、開催地がベルギーなだけで、蓋を開けてみればフランス・アカデミズムに則った内容だし…。

特に、比較的若い(15歳以下)サクソフォニストのためのコンクールが数多く存在することが興味深い。ざっと挙げてみるだけで、ギャップ・ジュニア・コンクール、UFAMコンクールのジュニア部門、アドルフ・サックス国際コンクール(ディナンとはまた別物)のジュニア部門…などなど。義務教育とは別に設けられた「音楽院」という制度のためか、若いうちから充実した音楽教育を受けられることにも関係があるのだろう。

フェスティバルの時にジェローム・ラランにもらったこのCD、フランス・サクソフォーン協会製作になるこのディスク「STARSAX 2003 2004(A.SAX)」は、近年行われたコンクールの概観を、一気に俯瞰できる内容。すなわちジュリアン・プティやジェローム・ララン、大石将紀といった20代後半の新進プレイヤーから、10歳前後(!)の子供までの演奏を収録しているのだ。しかも、全ソリストがLaureat du concours…コンクール入賞経験あり、という前書き付きの奏者だという。

ライナーには、一曲一曲のフランス語解説と、トラックの演奏者の名前、また、演奏者がどのコンクールに入賞した経歴を持つか…といったデータまで掲載されていた。ふむふむ、フランスのコンクール事情を知る上で貴重な資料である。ジュニアからシニアまで、各所のコンクール入賞者の音をまとめて聴けるというのは、なかなか凄いではないか。

演奏形態は、ピアノとのデュオ、三重奏、四重奏、テープ伴奏、吹奏楽との演奏、と多岐にわたり、曲目も、プッチーニや民謡の編曲、カプレやミヨーのオリジナル、さらにエリオットー・カーター、ファビアン・レヴィ、ティエリー・エスケシュ、フランス・サクソフォーン協会の委嘱作品までと様々。

さすがに20組以上のソリストや団体が参加しているだけあって、収録されているのはほとんどが小品だが、例えばジュリアン・プティ氏の演奏による「The Summons」、ジェローム・ラランや大石将紀氏も参加したカーターの「Canonic Suite」、テナーにミハ・ロギーナが参加しているタレア四重奏団 の演奏によるエスケシュ「Le bal」なんかは、資料としての価値を超えてかなり聴き応えがあるなあ。

10歳と12歳のデュオや、15歳以下のみで演奏された四重奏やトリオなんてのもあり、意外なほどの安定感に驚いたのだが、どうやらアーティスティック・アドバイザーとしてニコラ・プロスト氏がバックアップを行ったらしい。

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