2006/07/28

ラッシャー派の演奏

ノードグレンの「サクソフォーンと弦楽のための協奏曲作品92」という曲を聴いている。演奏はジョン=エドワルド・ケリー。

ケリー氏といったら、言わずと知れたジグルト・ラッシャーの高弟であり、ラッシャー氏の演奏スタイル(精神、と言っても良いかも)を今日に伝えるヴィルトゥオーゾの一人。古い楽器のせいなのかな、随分とくぐもった感じの渋い音色というのは、ラッシャーの娘であるカリーナ・ラッシャーやラッシャー四重奏団のあたりとも共通するものがある。ケリー氏の演奏はイベールやラーションが入ったCD(Arte Nova)でも耳にしたことがあるのだけれど、ラーションを初めて聴いたときには度肝を抜かれたなあ。

ノードグレンのこの曲は随分と高音域が駆使される曲なのだが、フラジオ音域での安定感のあること!古い楽器の抵抗はこういった奏法に合っているのかもしれないなあ。弦は結構面白い響きで、生で聴いたら結構迫力あるかも。

日本やフランスのサックスの艶っぽい音に慣れた耳で聴くと、かなりびっくりする類の演奏なのだけれど、ラッシャー周辺が築き上げてたスタイルはそれはそれで確立されているようにも感じさせる演奏。「オリジナリティがある」といったらなんだか語弊があるだろうか、別に奇をてらった演奏というわけではない、主幹がしっかりした世界中のサックス界の流派のうちのひとつ。

日本には、ラッシャーに学んだ奏者はいないのだろうか。しかしここまで耳あたりが違うと、音色を聴いただけで日本のサックス界から仲間はずれにされそうな気もするなあ。とまあ、ラッシャー派の演奏を聴くと様々に考えさせられる事が多い。

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