2014/11/28

井澤裕介さんのライヴ@上福岡

昨日になるが、終業後に上福岡へと向かい、井澤裕介さん主催のライヴを聴いてきた。上福岡は思ったよりも遠く、会場に着くまでは大変だったのだが、本当に行って良かったと思ったのだった。

【Classic Music Live!! vol.3】
出演:井澤裕介(sax)、柏木かさね(vn)、大嶋千暁(pf)
日時:2014年11月27日(木)19:30開演
会場:Blanc(上福岡)
プログラム:
?***
A.リード「バラッド」*
J.ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第一番」より第一楽章**
A.ピアソラ「忘却」***
A.ピアソラ「エスクァロ」***
「スウィート・メモリーズ」(松田聖子)*
「ひこうき雲」(荒井由実)**
佐藤信人「さくらうさぎの香り」***
佐藤信人「もみじの香り」(委嘱作品・初演)***
M.アイシェヌ「カンティレーヌとダンス」***
「青春の輝き」(カーペンターズ)(アンコール)*
アンコール2曲目なんだったっけ***

*=サクソフォン+ピアノ
**=ヴァイオリン+ピアノ
***=サクソフォン+ヴァイオリン+ピアノ

上福岡から近い…が、なかなか分かりづらい場所にあるBlancというライヴバーで開催された。ゆったりとしたスペースで、ピアノとドラムが備え付けられ、音響は意外にも良い。

サクソフォンの井澤さんは、尚美学園大学を卒業され、現在東京音楽大学の大学院2年生。このたび、大阪市音楽団のバリトンサクソフォン奏者のオーディションに合格し、2015年より大阪に移住する予定とのことだ。井澤さんからは、今までも何度か演奏のご案内をいただいていたのだが、予定が合わず、今回初めて井澤さんの演奏を聴いたのだった。ピアノの千暁さんの演奏を拝聴するのも久しぶり。相変わらずお忙しそうで各所でご活躍だが、ますますアンサンブルピアニストとして磨きがかっているのは、すばらしい。

さて、井澤さんの演奏である。セルマーの楽器(Serie3)に、セルマーのマウスピースというごく一般的なセッティングなのだが、ちょっと聞いたことのない、なんとも蠱惑的な音が飛び出した。その音色に耳が吸い付けられたまま、気がついたらライヴが終わっていた…。それにしても、若い方でこのような音のアプローチをされることが、とても興味深い。井澤さんの美意識がそのまま音として客席に届いているのだろうか。師匠である小串先生の影響も感じるが、方向性は同じにしつつもコピーではないところが、井澤さんの演奏の個性だろう。

「うた」をテーマにしたということだが、どんな曲にあっても、極々自然であり、変な誇張や仕掛けなどは全くない。喋った言葉がそのまま音になり、それはそのままフレージングや音色として会場に広がってくる。若手奏者(などと上から目線的な言葉を使うのもおこがましいが)としては珍しいタイプの演奏家であると思った。私自身はテクニカルだったり派手だったり、というのも好きだが、こういうさり気ない作品を魅力的に聴かせられる「趣味の良さ」を携えていたとは!驚いた。だからこそ大阪市音楽団に迎えられた、というのもあるのかもしれない。ミュール編の小品とか、ばんばん吹いてほしいぞ。

演奏された作品は、アレンジ物、オリジナル物様々だが、佐藤信人さんの作品がまた良かった。京のお香を題材にとった作品という事だが、和風な全体を覆う雰囲気がなんとも言えず素晴らしく、聴き入ってしまったのだった。アイシェヌも、まさかこういった機会に聴けるとは意外ながらも嬉しく、カンティレーヌ、ダンスとも、集中力の高い演奏を楽しんだ。

打ち上げも参加させていただき、遅くまで楽しい時間を過ごしたのだった。大阪でのますますのご活躍を祈念する次第。また、こちらでの演奏もちょくちょく考えてはいるとのことなので、次に聴く機会を楽しみに待っていたい。

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