2014/10/14

レ・ヴァン・フランセ2014@三鷹

【レ・ヴァン・フランセ】
出演:エマニュエル・パユ(フルート)、フランソワ・ルルー(オーボエ)、ポール・メイエ(クラリネット)、ジルベール・オダン(バソン)、ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)、エリック・ル・サージュ(ピアノ)
日時:2014年10月13日 15:00開演
会場:三鷹市芸術文化センター・風のホール
プログラム:
L.テュイレ - 六重奏曲 変ロ長調 op.6
N.リムスキー=コルサコフ - ピアノと管楽のための五重奏曲 変ロ長調
A.カプレ - ピアノと木管のための五重奏曲 op.6
C.サン=サーンス - デンマークとロシアの歌による奇想曲
F.プーランク - 六重奏曲

本来であれば妹が長野から聴きにくるはずだったのだが、風邪をこじらせて来られそうにないということで、チケットが送られてきて急遽伺うことになった。

独奏者、室内楽奏者、オーケストラ・プレイヤー、教育者として、積極的な活動を続ける高名な5人の管楽器奏者とピアニストによるアンサンブル。管楽器(サクソフォン)奏者の末席に位置する者として、また、室内楽団(サクソフォン四重奏)の末席に位置する者として、とても気になる存在であった。かねがね噂には聞いており、いつか一度は聴いてみたいと思っていたから、このタイミングで聴けたのはとてもうれしかった。

前評判通りの素晴らしいアンサンブルで…いや、もはやアンサンブルというか、"6人の独奏者の集団"のごとき自発性に満ちた音楽が終始展開された。そして、木管五重奏団(ピアノ含む)という編成の可能性の大きさについても思いを馳せることになった。いやはや、得難い体験であった!まるで室内オーケストラのような音量と、吹奏楽なみの色彩感の豊かさ!たったの6人で!

カプレとプーランクについては、曲を知らなかったので予習をしていったのだが、もともとの曲の印象をすっかりゼロクリアされ、新たな作品の世界が出来上がってしまった。ピタリピタリと縦が合っているわけではないのに、なぜこんなに魅力的に聴こえるのだろう!普通の人がこれをやっても、ただの「合わせ不足」であるで片づけられてしまうところだが、これはやはりどのパートを耳で追っていっても、独奏曲を聴いているように音楽的に説得力があるからなのだろう。だがしかし完全に好き勝手やっているわけではなく、自在にその引力を変える電磁石のように、要所をきちんと押さえ、時には集合体として響きを創り出すのだから、その駆け引きの瞬間瞬間が実に面白い。それは曲を追って行って「ここだ!」というポイントで変化が発生することもあるし、「ここで?」という場所で変化することもあるので、刺激的なことこの上ない。

時折曲中に現れるカデンツァでは、各プレイヤーの面目躍如。想像を絶するフレージングはじめ、激烈に上手いのだが、それ以上に、ここぞとばかりに自由に奏でる各プレイヤーの様子が、なんだか可笑しかった。

三鷹のホールは駅から遠くで歩いて伺うのがやや大変だったのだが、ホールの響きは美しく、この室内楽を聴くのに最適だと思った。

(ここまで圧倒的な音楽を聴かされてしまうと、言葉で感動を表すのは難しいものだ…)

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