2014/09/15

日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット

充実した三日間が終了。練習〜本番の流れを書いておく。日曜夜に聴いたビジューSQの素晴らしいライヴについては、別記事として書くこととして、この記事ではサミットに関係した諸々を書いておく。

【日本ラージサクソフォンアンサンブルサミット】
出演:(後述)
日時:2014年9月15日(月・祝)15:00開演
会場:いずみホール(大阪市)
プログラム:
〜幕前〜
W.A.モーツァルト「フィガロの結婚序曲」(相愛大学)
〜第一部〜
(曲目は後で書く)
エスパルクサクソフォンアンサンブル、Kobe Saxophone Musica、SAX PARTY!、グラシューズサクソフォンアンサンブル、高知WOサクソフォンアンサンブル、柏友会サクソフォン合奏団、F.G.サクソフォン・クラブ
〜第二部〜
R.シュトラウス/野原武伸「メタモルフォーゼン」(リエゾンサクソフォンアンサンブル)
高昌師「木霊」(ミ・べモルサクソフォンアンサンブル)
J.ブラームス/ミ・べモル「ハイドンの主題による変奏曲」(ミ・べモルサクソフォンアンサンブル)
〜第三部・出演者全員による合同ステージ(指揮:前田昌宏、180名余)〜
G.ホルスト「惑星より火星、木星」
M.ラヴェル「ボレロ」

柏原卓之氏主宰の柏友会サクソフォン合奏団のメンバーとして参加。柏友会サクソフォン合奏団は、初めましての方もお知り合いの方もおり、テナーとして非常に楽しく参加させていただいた。8月に名古屋で事前練習があったのは、以前書いたとおり。

・土曜日
10:00から大阪の南港ACTで練習とのことで、5:22の電車を使って練習会場付近に9:10に到着するつもりが、5:36に起きる。仕方がないので10:00に間に合わせるつもりで身支度・出発し、最寄りから2駅行ったところで楽器を忘れたことに気付く。猛ダッシュで乗り継ぎを繰り返し、予定から一時間ほど遅れて新幹線で、一路大阪へ。大阪は5年ぶり。新大阪より諸々を乗り継いで南港へ。練習場所はまさかのオーシャンビューで、停泊中のさんふらわあを望むこともできた。

午前の合わせの後、お昼ごはんに唐揚げ定食(安くて多くてうまい)をたべ、午後より雲井先生を迎えての合奏レッスン。想像だにしなかったサクソフォンのラージアンサンブルに対するアプローチ!伊藤康英先生の「琉球幻想曲」が、みるみる変わっていった。金言の数々。落ちた鱗で足元がいっぱいになってしまった。

夕方からは懇親会。柏友会として参加されている皆様を始め、いろんな方とお話できたが、Kobe Saxophone Musicaとして参加されていたお久しぶりのT田さんや、初めましてのN村さんとお話できたことや、ビジューSQのみなさんとお話できたことも印象深い。一次会の後、たこ焼きを自分で焼く店(名前失念)に伺って、雲井先生を交えつつたこ焼くのも楽し。この日はカプセルホテルに宿泊(三連休に乗ったライヴやら学会でまともなビジネスホテルが満室、全く予約できなかったのだ)したが、意外な快適さに驚いた。

・日曜日
午前は昨日の続きの練習を再び南港にて。午後は、淀川区民センターにて全員合奏の練習。あまりにでかい練習場所とあまりの人数の多さにびっくり。こちらではなんと、昨年の高松のフェス以来となるプリズムQの皆様に再会でき、嬉しかった。また、これまでFacebookだけであったT中さんご夫妻にもお会いでき、こちらも嬉しかった。ご活躍中の蓼沼さんともひさびさだったなあ。この人数の多さで火星、木星、ボレロとはどうなることかと思ったが、前田昌宏氏の見事な采配とツボを抑えた合奏進行により、きちんと通ったのには驚いた。この合奏の様子については、後日写真をアップしようかと。

練習後は、曽根崎新地のライヴハウス、大阪MISTYに赴いて、ビジューサックスカルテット、ゲスト黒田雅之氏のライヴを楽しむ。この大変素晴らしかったライヴについては、別記事に書こうと思う。最後は、ラーメン「まんねん」にて〆。この日も前述の理由によりカプセルホテル。

・月曜日祝日
朝はシアターBRAVA付近に集合し、正面口よりいずみホールへ。開けた空にそびえ立ついずみホールの建物は、ホールとしての格式を誇示するような、大きな存在感を湛えている。ロビーの落ち着いた内装や調度品が印象深い。11:00頃より柏友会サクソフォン合奏団のリハーサル。ホール内も、美しいステンドグラスに目を奪われ、えもいわれぬ音響に耳を奪われ、だがしかし隣の音はものすごくよく聴こえるという、これまで吹いたホールの中でも屈指の会場であった。

お昼ごはんののち、全員合奏のリハーサル。テナー1stのうち4人はなんとバルコニーでの演奏!パイプオルガンのコンソール付近で、残響に怯えつつも合奏を楽しんだ。練習後、外では聞きに来ていた徳島のがっきーさんに会い、Thunderさんに会い、てらださんに会い、出演のきんじさんイカサマさんFさんとコーヒーを飲む。

幕前は、相愛大学のサクソフォンアンサンブル。前田昌宏氏が指導する大学だ。お揃いの衣装でぴしっと決めた23人のアンサンブルでモーツァルト「フィガロの結婚序曲」を吹いていた。なんとも上手い!指揮無しながら、実に統制され、一貫してテンポの乱れもなく、近年のトレンドである軽やかさも持ちつつの見事な演奏を展開した。驚いた。。。並びも面白い。例えば最前列はSSASATTTT(うろ覚え)という具合。どのようなポリシーに基づいているのか気になる。

一団体目は、トゥジュールSQの辻本剛志氏が中心となったエスパルク・サクソフォンアンサンブル。カバレフスキーの「道化師」からの抜粋。軽やかさと楽しさを併せ持つこの曲、各楽章の性格をきっちり吹き分けて、貫禄を示していた。大人数になった時の吹き分けほど難しい物はなく、そういった意味でさすがであった。

二団体目は、兵庫のT田さん主宰のKobe Saxophone Musica。プッチーニ「ソングス・オブ・トゥーランドット」で、有名なメロディもそうでないメロディも織り交ぜての難しいアレンジだが、素晴らしい音の厚みと発音の均一性が、より説得力を与える演奏だった。これはアマチュアに留まる仕事ではない!すごいなあ。。。終始リードのN村さんもすご。

ここでチューニングのため抜け出した。他の団体も聴きたかったが…。チューニングののち、ステージ袖待機。高知WOサクソフォンアンサンブルのラヴェル「クープランの墓」を袖より楽しむ。

柏友会サクソフォンアンサンブル一曲目は、伊藤康英「琉球幻想曲」。私なんかはホントに末席で響きの力にもなることができなかったが、良い演奏となったと思う。二曲目は斎藤尚久「エアウェイズ」。ポピュラースタイルの作品で、中間部ではビジューSQをフィーチャー。ソロをとったドラムス山田氏、ソプラノ三輪氏、テナー横原氏、いずれもすごい演奏だった!客席も大きく盛り上がる。最後は「ふるさと」でしっとりと。外で記念撮影して解散となった。それにしても、楽しかった!

休憩を挟んで、リエゾンの演奏を聴く。サクソフォンを越え、クラシックとしてその演奏を位置づけようとするその方向性は稀有なものだ。曲中、ゆるやかな変化の中で瞬間瞬間にサクソフォンではない響きが聴こえるという、得がたい体験をした。第一回のリサイタルを思い出すが、あの頃とはまた少しずつ方向性を変えながら、しかし着実にクラシック音楽の世界へと突き進んでいるという印象を受けた。

そしてミ・べモルの演奏。実は生ミ・べモルは初体験だったのだが、開いた口が塞がらないとはこのことだ。テクニカルな面を完全にクリア、ダイナミックながらまったく隙がない。均一な音色と発音、各個が持つテンポ感(いったいテンポの心臓はどこにあるのだろう!?なんで指揮者なしであんなに合うのか…)、さらにステージングまで、「完璧」であった。いやはや、恐れ入りました。。。ある意味では世界最高のサクソフォンラージアンサンブルと、言い切ってしまっても良いのではないか。前田氏がリヨンで学んだサクソフォン合奏を日本に持ち帰り、年月を経て醸成させ、それが現代にあって最高の形として結実している、その流れを実感するものであった。

最後は全員合奏。嬉しい事にお客さんも、満席状態。ステージから湧き上がる音を浴びながら、バルコニーで楽しく吹かせていただいた。自分が巨大なパイプオルガンの構造の中にいるような、夢のような体験であった。特に木星は楽しかったなあ!どたばたと片付けてみなさんに挨拶して帰路へ。帰り際に新幹線の新大阪駅で、リエゾンの貝沼さんと大栗さんにばったり会ったのには驚いた。おみやげを買って、なぜか焼肉の田村のカレーを食べて、新幹線に飛び乗った。

いやはや、実に貴重で得難い経験をさせてもらった。濃密な三日間が終わり、明日からは再び日常へ。祭りのあとは寂しいものだ。

関係者のみなさま、お疲れ様でした、ありがとうございました。また、企画を立ち上げ、200人近くの出演者を動かし、スムーズな進行に尽力した運営のミ・べモルのみなさま、相愛大学のみなさま、ありがとうございました。

バルコニーより、いずみホール内観。百歩譲っていずみホールで演奏する機会がまたあるとしても、バルコニーに乗ってサックスを吹く機会はもう無いことだろう(笑)


(追記)全員合奏の写真が、ミ・ベモルのページにアップされていた。こりゃすごい!こんなことになっていたのか…。http://www.mi-bemol.com/_task/gallery_viewer/140915_gallary_Summit.html

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