2014/07/30

ローラン・テシュネ「即興:内的ソルフェージュ」

東京芸術大学助教授、桐朋学園音楽大学講師である、ローラン・テシュネ Laurent Teycheney氏の小論文「即興:内的ソルフェージュ」をご紹介。

サクソフォン的視点として興味深いのは、即興演奏家として、平野公崇氏が取り上げられていること。インタビューもあるなど、内容としてなかなか面白い。

http://www.lib.geidai.ac.jp/MBULL/33Teycheney.pdf

http://www.lib.geidai.ac.jp/MBULL/34Teycheney.pdf

一部引用する。

…大きな問題に、作曲された作品は、いったいどのようなアプローチで演奏すべきかという問題があります。
 考えなければならないことに、作曲家の意図、作品の持つスタイルや時代・背景などがあります。また、演奏者である自分自身の感性が感じるところもあります。特に悩むのは、それらは決しておいそれとは共存してくれないことにあります。
 作品をどこまでも理解することに努め、そのためには己の価値観を封印し、あくまで作曲者の求めているものや、スタイル等にどこまでも近づけていく事が正解なのか?それとも、あくまで自分個人の価値観を世に主張することが最大の目的であり、そのためには作品は単なる素材、或いは手段であり、楽譜上に書かれている事はガイドに過ぎず、どこまでも自分の持っているフィーリングに近い演奏が出来るようにするために変えていってしまうべきなのか?或いはその両方なのか?或いはそのどちらでもないのか?
 この答えは一つではないでしょうし、沢山の価値観が存在すると思いますが、音楽とはそれを一生かけて見つけていく作業とも言えるかもしれません。多くの経験を積む中で少しずつ分かっていけば良いことなのかも知れません。が、多くの学生がテクニックや楽譜や作者についての知識を与えられて、それだけで終わってしまい、そこに自分の感性をどう反映させれば良いかがわからないまま終わってしまうのが現状のように思います。…

即興演奏とは、この課題に対する答えとなりうる、というのが、インタビュー中での平野氏の主張である。なんとなく共感を覚えるのは、私も無意識に同じような悩みを抱えているからなのだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿