2014/05/17

Duo Kalypso(ミーハ・ロギーナ氏&李早恵さん)コンサート@アクタス

サクソフォンのミーハ・ロギーナ Miha Rogina氏とピアノの李早恵さんのデュオ:Duo Kalypsoを、久々にライヴで聴く機会が巡ってきた。2007年のサクソフォーン・フェスティバルでハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章を聴き、まさに「黒船来航」とも言うべき大きな衝撃を受けて以来注目しているが、今回もそのとき得た衝撃をまざまざと思い出すような演奏だった。

【ミーハ・ロギーナ サクソフォンコンサート】
出演:ミーハ・ロギーナ(sax)、李早恵(pf)
日時:2014年5月15日 19:00開演
会場:アクタス ノナカ・アンナホール
料金:一般3000円、学生1500円
プログラム:
D.ミヨー - スカラムーシュ
A.デザンクロ - PCF
P.クレストン - ソナタ
I.ストラヴィンスキー/S.ドゥシュキン - スケルツォ
A.ピアソラ - タンゴの歴史
吉松隆 - ファジイバード・ソナタ
A.I.ハチャトゥリアン - ヴァイオリン協奏曲より第3楽章(アンコール)

仕事の関係で前半は伺えず、休憩時間に駆け込む。かなりの席の埋まり具合で驚いた。後半は、アレンジ物を中心としたプログラム。前半もかなり良かったと何人かの方から感想を聞く。

ソプラノサクソフォンによる、ストラヴィンスキー/ドゥシュキン編の「スケルツォ」から。開始一分でもはや何をやっているのか良くわからないというか、常識をくつがえされるというか、ダブルタンギング・循環呼吸・フラジオをのびのびと使いながら、「普段サクソフォンというものはこのくらいのもの」という概念をぶち破る演奏が展開される。さらに特筆すべきはそのアンサンブルであり、有機的かつピタリと寄り添う演奏に度肝を抜かれた。

ピアソラではさらにその印象を強くする。アレンジはオリジナルのものなのだろうか?決めドコロが次々に出てくるこの作品だが、ますますアンサンブルの精度は増し、もちろんサクソフォン、ピアノ共々技術的なレベルは完全にクリアして、さらに深い1フレーズ1フレーズへの解釈の与え方に注目して聴いてしまう。妙にアゴーギクの変化でフレーズが引き伸ばされても嫌味にならないのは、演奏者の力量だろう。

「ファジイバード・ソナタ」も聴き物だった。YouTubeの演奏よりもやはり実演で聴いた印象はさらに凄い。良く知ったはずの「ファジイバード」が、新たな美しい翼を得て羽ばたく瞬間を目撃した。ここでそうくるか!という驚き、聴いたことのないようなダイナミクスとアンサンブル。ところで第3楽章のピアノは、たしかただのドローン即興指定のはずなのだが、なんだか凄いフレーズの応酬で笑ってしまうくらい凄かった。いやはや。

そしてまさかのアンコールにハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲」第3楽章!前述のとおり同じくハチャトゥリアンの「ヴァイオリン協奏曲」第1楽章がDuo Kalypso初体験だった私にとっては、なんとも嬉しい選曲だった。実質メイン曲並み(笑)のスペシャルすぎる演奏を堪能して、演奏会は幕となった。凄かった!

打ち上げ(アクタスの後は串八珍、という流れは定番ですな!)もお邪魔させていただき、とても楽しい時間を過ごすのだった。

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