サクソフォンが大活躍するジョン・アダムズ「シティ・ノワール」の話題はちょくちょくこのブログでも出していたが、初演のDVDについてのレビューを書いていなかった。2009年10月8日、ウォルト・ディズニー・コンサートホールにおける、ドゥダメル氏のロサンゼルス・フィルハーモニック音楽監督就任記念演奏会の模様を収録したDVDで、Amazonで新品が妙に安かったこともあって、いつからか所有している。
John Adams - City Noir
1. The City and its Double
2. The Song is for You
3. Boulevard Night
Gustav Mahler - Symphony no.1 in D major
「シティ・ノワール」におけるティモシー・マカリスター Timothy McAllister氏の、ロサンゼルス・フィルハーモニックの中における存在感は相当なもので、ジャズのニュアンスをも取り込んだ超絶技巧(サクソフォンのオーケストラ・スタディとしては世界最高難易度ではないか…)で要所要所でかなり魅せる。特に第3楽章「Boulevard Night」では、これはもうほぼサクソフォン協奏曲といって良いレベルではないか、というほど目立つ書き方がされており、サクソフォン的興味の側面からも大変見応えがある。
殊更にリズム処理が至難な作品を、ドゥダメル氏の棒は非常に上手くさばいている。いつだか拝見したヴァルトビューネでの客演指揮の時もそうだったが、オーケストラを乗せて曲の持つパワーを存分に引き出す手腕は、ドゥダメル氏ならではのものであろう。オーケストラ、特に弦パートの細部の処理はやや大味だが、それすらも味わいかもしれない。
ハイ・テンションで初演直後、客席で拍手するアダムズ氏。この笑顔である。いや、本当に、それだけ素晴らしい演奏だったのだから。…って、隣に座っているのはトム・ハンクス夫妻ではないか!(驚)アメリカの上流階級の一端を垣間見るようですな。直後、アダムズ氏はステージ上に呼ばれて、ドゥダメル氏の労をねぎらっている。
カーテンコールでは、アダムズ、ドゥダメル両氏によって、真っ先にマカリスター氏が立たされている!これには感動。
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