2013/02/02

藝大定期室内楽第39回(第一日目)

ホントに素敵なグラズノフを聴くことができた…。

【藝大定期室内楽第39回】
出演:東京藝術大学在学生
日時:2013年2月2日 14:00開演
会場:東京芸術大学奏楽堂
料金:1500円
プログラム・出演者詳細(本日聴いたぶんのみ):
・弦楽四重奏曲 ヘ長調 ◆ ラヴェル String Quartet F-dur ◇ Maurice Ravel Vn.石田 紗樹(4年) 下田 詩織(4年) Va.松村 早 紀(4年) Vc.山本 直輝(4年)
・ブラス・メナジェリー ◆ チータム A Brass Menagerie ◇ John Cheetham Trp.金丸 響子(院1年) 重井 吉彦(2年) Hr.鈴木 優(3年) Trb.鳥越 崇裕(院2年) Tuba 田村 優弥 (4年)
・サクソフォーン四重奏曲 変ロ長調 作品109 ◆ グラズノフ Saxophon Quartett B-dur, op.109 ◇ Alexandre Glazounow Sop.Sax.山﨑 憂佳(4年) Alt.Sax.中島 諒(3年) Ten.Sax.三浦 夢子(院1年) Bar.Sax.上野 耕平(2 年)

今日はもともとつくば市で練習があったのだが、練習場所取得ができなかったとのことで急遽取りやめになってしまった。よしそれならと中島さんに連絡したところ、チケットを用意してくださり、こちらの演奏会に伺うことができた(ありがとうございました)。少々到着が遅れ、また予定があって終演までいることもできなかったのだが、弦カル、ブラス、サックスの3団体を聴くことができた。

弦楽四重奏は、ラヴェル。とても良く知っている曲だが、実はライヴで聴いたのは初めてかもしれない。4年生のみで結成されたカルテットでステージ上での立ち振舞いはやや若いなという感じを残すものの、演奏姿は貫禄充分である。繊細なppの表現…特に第1楽章冒頭の上向きのボウイングによるアタックはさすが弦楽器特有の表現!もちろん管楽器で表現しようとすると難しくなってしまうわけで、最初から猛烈なコンプレックスを覚えたのだった。撥弦楽器による独特のフレージング感、テンポ感など、やはり素晴らしいものが有り、技術的にも高く大変楽しむことができた。やはりサックスばかりではなく、たまにはこういうのも聴かなければ…。

ブラスは、アメリカ・ニューメキシコ州出身のチータムという作曲家の「金管楽器の動物園」なる作品。実にテクニカルで若干現代的な響きもするが、楽章ごとに面白いほどスタイルが変化し、演奏としても作品としてもとても楽しめた。ここで驚いたのはやはり音の指向性と音量である。直管楽器ならではのパワーは、やはりサクソフォンとは一線を画するものであり、いくらサクソフォンが現代ホール向きの大音量を獲得しているとはいっても、さすがにかなわないのだな、などと思った。ミュートによる音色変化も、全体の構造に色彩感を効果的に与えるが、これも金管楽器ならではだ。そういえば、セッティング時に下手あたりに透明な譜面台のようなものが4台置かれ、アレは何だと思っていたのだが、なんとホルン用の反響板だったのだった。こんなイメージ。指向性の強さは、やはり時には不利に働くこともあるのだな…。

ということで、弦カル→ブラスを聴く中で、妙なサックス吹き的コンプレックスが芽生え(笑)そのままグラズノフを聴き始めたのだが、あの冒頭の一音目の和音が響いた瞬間に、その陰鬱な気持ちが吹き飛んだ!サクソフォンの倍音の豊かさが、アンサンブルの魅力として挙げられることがあるが、そこで感じた響きの豊かさは弦カルやブラスより、もっと人間の本能に働きかけるような魅力を湛えたものなのだ、ということを再認識。ppの表現も、相当なレベルに肉薄しつつ、響きは決して失わない。かと思えば大音量の部分では音圧に頼らないリラックスしした心地よい響きでホールを満たしていた。一人ひとりが卓越したソリストであることも、演奏を面白くしていた要因だろう。そういえば、かつてのJrサクソフォンコンクールの上位入賞者が集結したカルテットといういことになるのだな(第9回第2位:三浦夢子さん、第10回第1位:山﨑憂佳さん、第11回第1位:中島諒さん、第12回第1位:上野耕平さん)。山﨑さんと中島くんの演奏は、フェスの会場でJrコンクールの披露演奏を聴いているし、上野くんは昨年コングレスや東京芸術劇場で聴いたし…そんな演奏家たちが集結したカルテットということで、ちょっと感慨深いような。

グラズノフが終わったのち、続く用事があるため時間切れで退席したのだが、「サックスって良い楽器なんだなあ」と、とても良い気分で会場を後にすることができたのだった。

行きと帰りはもちろん上野公園を抜けていくことになるのだが、NEX-5N+SEL16F28+VCL-ECF1で何枚か面白い写真が撮れた。天気も良く、暖かく、カメラを持って歩いていると気分が晴れ晴れとしてくる。

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