2012/10/04

サクゴレン&TsukubaSQ曲目解説

先日のサクゴレン&TsukubaSQのジョイントコンサートの、曲目解説を公開する。A4用紙1ページに、10ポイントの文字サイズで収まる程度…というと、このくらいの量である。

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ジャン=バプティスト・サンジュレ「四重奏曲第一番」
ベルギー生まれのヴァイオリニスト・作曲家であるサンジュレは、サクソフォンの発明者であるアドルフ・サックスと親交が深く、アドルフが就任した音楽院のサクソフォン科の試験にも課題曲を提供していました。「四重奏曲第一番」は、世界で最初期に書かれたサクソフォン四重奏曲と言われています。古典的な和声・リズムとサクソフォンの豊潤なサウンドが組み合わさった、心地よい響きをご堪能ください。

ペリー・ゴールドシュタイン「フォールト・ラインズ」
ブルースのコード進行にビバップのメロディを乗せたクールな作品です。もともとはサクソフォンとピアノのために書かれましたが、のちに作曲者自身の手により四重奏のために編曲されました。アメリカ生まれの作曲家、ゴールドシュタインは、特にジャズやロックの影響を受けた作品を得意としています。

ジェローム・ノレ「トカデ」
「フリッソン」「サックストーリー」といった、サクソフォン吹きには人気の作品を提供し続けているフランスの作曲家、ノレ。その正体は、世界最強の現代音楽演奏集団”アンサンブル・アンテルコンタンポラン”のトロンボーン奏者です。耳に馴染み深い作品を制作し続ける一方、シリアスで難解な作品の演奏もお手のもの、というギャップは実に面白いものです。決然とした印象を残すタンゴ風の第1楽章と、16分音符が連なる第4楽章を演奏いたします。

渡辺雅也「サクゴレンのテーマ~魔法仕掛けの壊れた時計~」
アンサンブルサクゴレンのオリジナル・テーマ曲。2012年6月、第3回サクソフォン交流会で初演されて以来、サクゴレンのテーマ曲としてすっかりおなじみとなりました。

クロード・ドビュッシー/中村均一「ベルガマスク組曲」より”プレリュード”
今年生誕150周年を迎えたドビュッシーが書いた、ピアノのための古典的な形式をとる組曲。その最初の楽章として配置された”プレリュード”では、美しい和声構造の上で流麗な旋律が奏でられます。中村均一が手がけたこのアレンジは、サクソフォンの特性を存分に活かしたもので、数あるサクソフォン四重奏のための編曲作品の中でも、最高傑作の一つであると躊躇なく断言してしまえるほどです。

ミシェル・ルグラン/大島忠則「キャラバンの到着」
映画「ロシュフォールの恋人たち」で、主人公の双子姉妹が住む海辺の街に、ショウの舞台装置・ダンサー・歌手の一行(キャラバン)が到着した際にBGMとして流れる音楽です。日本国内においては、三菱・ランサーのCMとして使われ、広く知られるようになりました。ジャズを模した軽快な作品です。

横内章次「バラード・フォー・トルヴェール」
横内章次は、ギタリストとして活躍する傍ら、作編曲家としてよく知られていますが、この作品が完成した数年後に惜しまれつつ鬼籍に入ったとのこと。「バラード・フォー・トルヴェール」は、日本を代表する四重奏団のひとつ、トルヴェール・クヮルテットの名を冠したコンサート・ピース。緩急緩の三部構成で、憂いに満ちたワルツに導かれる急速調の中間部は、アドリブ風のソロも交えるなど圧巻です。

長生淳「八重奏曲」
2000年12月に開かれた、日本のトルヴェール・クヮルテットとオランダのアウレリア四重奏団による日蘭国交400年記念ジョイントコンサート。いまでもサクソフォン界では伝説となっているコンサートですが、そのステージの最後に委嘱新作として初演されたのが、この長生淳「八重奏曲」です。疾走感のカタマリのような第1楽章と、シリアスさと祝祭的な雰囲気が共存する第2楽章の、2つの楽章から構成されます。

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