Stephen Page氏とはこれまでもなんとなくネット上で付き合いがあったのだが(ブログを見てくださっているらしい)、WSC会場でお会いすることができて嬉しかった。その時にもらったCD。ちなみに私からは伊藤康英先生の「琉球幻想曲」「J.S.バッハ - シャコンヌ」の楽譜を差し上げた。
アメリカの若手サクソフォン奏者の中でも、かなり有名な方だ。ミネソタ州立大学で学士号を取得(ユージン・ルソー氏に師事)、インディアナ州立大学で修士号を取得(オーティス・マーフィ氏に師事)、アイオワ州立大学で博士号を取得(ケネス・チェ氏に師事)し、つい最近コロラド州にてフルタイムの職を得た、との書き込みをFacebookで見た。アメリカ最高峰と言われるNASA(North American Saxophone Alliance)のソロ・コンクールで第一位を取得した他、数々のコンクールで入賞しまくっている。
サクソフォン四重奏団Zzyzx Quartetのアルトサクソフォン奏者としての活動も見逃してはなるまい。注目すべきアメリカの四重奏団は近年ぐっと増えてきたが、Zzyzx Quartetは活動内容や演奏クオリティを総合的に見ると、そのトップに位置している四重奏団ではないだろうか。
さて、そのPage氏のファーストアルバムである。なんとレコーディングが2007年。出版までにこれだけ時間がかかった理由は分からないが、まあCD制作あるある…だろう。ともかく出版されて良かった。サクソフォンがStephen Page氏、ピアノがCameron Hofmann氏で、収録曲目は以下のとおり。
Jindrich Feld - Sonata
Libby Larsen - Holy Roller
Jacques Charpentier - Gavambodi 2
Fernande Decruck - Sonate
選曲がツボである。何と言ってもまずはフェルド!おそらくユージン・ルソー氏、ケネス・チェ氏の影響を受けてのことだと思われるが、若手のサクソフォン奏者がこの曲を取り上げることに興奮を覚えた。このCDをきっかけに、幅広く演奏されるようになってほしいものである。ちなみに日本では服部吉之先生がレコーディングしているが、あまりそれ以外で取り上げられたという話を聞かないな…。ラーセンの新作?もなかなか音楽的かつ技巧的で面白いし、シャルパンティエやデュクリュックといったフランスの作品をも躊躇なく取り上げられるのは、自信から来る部分も大きいだろう。
フェルドを聴き始めた瞬間に「総合力」というキーワードが頭に浮かんだ。感覚で吹き飛ばす部分など皆無。計算しつくされ、良くコントロールされている。音色の美しさは、ルソー派である師匠ゆずりのものだろうか。また、安定したテクニックで曲の持つ特徴的な構造を見事に描き出している。「Holy Roller」はライヴ録音とのことだが、こちらもセッション録音と同等のクオリティである。フランスの作品群は、その透明な音楽性に感銘を受ける。21世紀型とでも表現すれば良いのか…。
CD Baby等で入手可能。デュクリュックやフェルドが好きな方は、ぜひ手に入れていただきたい。この2007年の録音とのことなので、ぜひ今のStephen Page氏の演奏を聴いてみたいな。またCD作らないかなあ。
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