2012/08/07

フローラン・シュミット「弦楽四重奏曲」

フローラン・シュミット Florent Schmittといえば、サクソフォン界隈には「サクソフォン四重奏曲 op.102」と「伝説 op.66」が有名である。シュミットは室内楽作品として魅力的な作品をいくつも手がけており、「ピアノ五重奏曲」や「クラリネット六重奏曲」は、私も大好きな作品だ。特に「クラリネット六重奏曲」は、私が知るクラリネット・アンサンブルの全作品(そんなに多くないけど)の中で最高傑作と断言したいものである。

数年前のことだが、シュミットの作品目録を眺めていたところ「弦楽四重奏曲 Quatuor a cordes, op.112」なる作品を発見。へえっ、と思い、唯一存在するというQuatuor Champeilの1956年12月のモノーラル録音を探したのだが見つけられなかった。良く良く調べてみると、原盤はPathe DTX 232で、新星堂&EMIのタッグでただ一度復刻されたものの、その後入手困難になっているとのこと。CDは中古市場に全く出回らないし、原盤を中古で探すも高い(300ドルという値段がついているのを見かけたこともある)しで、ずっと手に入れられないでいた。こういう時は、経験上待つに限るのだ…ひたすらに、中古品、または新たな復刻盤を待ち続けて8年。

ついにゲット。復刻盤なのだが、Forgotten Recordsなるサイトから入手した。直接の購入リンクはこちら。盤起こし、かつCD-Rということだが、鑑賞には耐えうるまっとうな復刻。全体を通して少々解像感に乏しいのは、モノーラルのゆえか、ノイズ・リダクションをかけているためか?ラヴェル「弦楽四重奏曲」、シュミット「弦楽四重奏曲, op.112」所収。

演奏は上にも書いた通りQuatuor Champeilだが、下記のようなメンバー構成となっている。カルヴェ弦楽四重奏団の第2ヴァイオリン奏者だったジャン・シャンペイユが創設した弦楽四重奏団で、フランスのレパートリーを得意とした。

Jean Champeil, vn
Georges Balbon, vn
Maurice Husson, va
Manuel Recasens, vc

お目当てだったシュミットの「弦楽四重奏曲」は、非常に高密度かつ高難易度の音楽である。全曲通すと実に40分に及ぶという大曲だが(まるで交響曲だ…)シャンペイユ四重奏団の驚異的な集中力で一気に聴き通せてしまう。サクソフォン四重奏曲やクラリネット六重奏曲のように、コンパクトにまとまった楽しさとは無縁の世界で、聴き手を少々選ぶかもしれないが、傑作であることに間違いはない。シュミットの室内楽を勉強しているかたは、ぜひ。

第1楽章:Reve(12分)
第2楽章:Jeu(5分)
第3楽章:In Memoriam(11分)
第4楽章:Elan(11分)

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