2012/05/03

10 anni dopo

昨晩遅く東京に戻り、今日は個人練習と家事・雑務などこなした。個人練習をしながら、難しい曲が徐々に出来るようになっていく感覚が好きだ。ゴールドスタインの某四重奏曲、なかなか面白い。

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以前、フランコ・ドナトーニの「Hot」についてブログ記事を書いたが、そこで話題に出したマリオ・マルツィが「Hot」の独奏を担当したディスクが届いた。「10 anni dopo(Stradivarius STR 33838)」という、ドナトーニの没後10周年に合わせて作成されたディスク。演奏陣はイタリアの音楽家で固められている。指揮がSandro Gorli、メインの室内アンサンブルがDivertimento Ensemble、サクソフォン独奏がMario Marzi、フルート独奏がLorenzo Missaglia、さらに、Italian Saxophone Quartetも参加している。収録されているのはもちろん全てドナトーニ作品で、下記が作品+作曲年のリストである。

・Hot per saxofono e sei strumenti(1989)
・Flag per 13 strumenti (1987)
・Tema per 12 strumenti (1981)
・Luci per flauto in sol (1995)
・Rasch II per quartetto di saxofoni, vibrafono, marimba, percussioni e pianoforte (1995)

ドナトーニのサクソフォン作品は3つあって、ソプラニーノ&テナーサクソフォンと室内アンサンブルのための「Hot」、サクソフォン四重奏のための「Rasch」、そしてサクソフォン四重奏とパーカッションのための「Rasch II」である。そもそもドナトーニがサクソフォンの世界に興味を持ったきっかけだが、どうやら「Hot」をAssociation des Saxophonistes de Franceから委嘱されたことがきっかけだったようだ。知らなかった。

さて、楽しみにしていたマルツィ氏独奏の「Hot」の演奏である。きっとガンガン吹いちゃう系(なんだそりゃ)なんだろうなあと思って聴き始めたのだが…。驚いたことに、大変精緻に組み立てられた演奏であった。拍が見える、リズムが見える、楽譜が見える!おそらく指揮者の方針によるところも大きいのだろうが、全体の構造も見据えながら、最後は大爆発。お気に入りのダニエル・ケンジー盤と比べると全く別の曲のように聴こえる。マルツィ氏も、なんだかずいぶん遠慮しているように聴こえる(笑)。イタリア・サクソフォン四重奏団が参加した「Rasch II」は、こちらはハバネラ四重奏団の名録音を思い起こす方も多いだろう。録音の違いなどもあって、こちらは聴き比べてみると面白い。

サクソフォンを含む作品以外のトラックも高いクオリティで、ドナトーニの魅力を存分に伝えるものだと思う。ドナトーニ入門編のCDとして適切だろう。Amazon等から、かなり安く購入できるので、興味ある方はぜひ。

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