2012/03/31

Green Ray Saxophone Quartet 1st Concert

先日千葉大学サクソフォンプロジェクトでご一緒した猪俣明日美さんからご案内いただいたコンサート。昨年末あたりから仕事が繁忙期で、なかなか平日の演奏会の演奏会に伺えなかった。仕事は昨日ようやく一段落ついたため、余裕をもって伺うことができる…と思ったら、マッタリしすぎて一曲目に間に合わないという失態。。。うへえ。

団体名の「Green Ray」は、日本語ではグリーン・フラッシュ(太陽が地平線に沈みかけている時にオレンジ色の光が一瞬緑色に輝く現象)というが、どんな経緯でこの名前にしたのかは分からなかった。国立音楽大学の雲井雅人氏門下の学生で結成されたカルテットで、メンバーは、ソプラノ:猪俣明日美さん、アルト:内田しおりさん、テナー:川﨑有記さん、バリトン:池原亜紀さん。猪俣さん、川﨑さん、池原さんの3人は、つい先日4年の課程を終えて卒業されたばかりだそうな。

プログラム冊子がなくなってしまったとのことでもらえず、手元に曲目のリストがないため、1曲目に何をやったかはわからず。ただ、一曲ごとにMCで解説を入れていたため、会場入り以降についてはこのとおり。


Pierre Max Dubois - L'imprevu
Sergei Rachmaninov - Vocalise
Jean Francaix - Petit Quatuor
Michael Torke - July
George Gershwin - Porgy and Bess
Florent Schmitt - Quatuor
~アンコール~
山本哲也 - Green Ballad(新作)

最初に聴いたデュボワの秘曲「L'imprevu(ランプリュヴ)」から、びっくりしてしまった。細かい走句が楽器間で受け継がれていく高難易度の作品だが、かなり技術的に作り込んであった。以前猪俣さんに話を伺った時、「この四重奏団を続けていきたい」ということを仰っていたので、やはりプロフェッショナルの四重奏団としての相当の気概を持ってリハーサルを重ねたのだろうなということを感じた。もし「学生のカルテット」という先入観が聞き手のほうにあるとするなら、それはとてももったいないことだろうと思ってしまった。音楽作りについては、音色へのこだわりや、きめ細やかなバランスの調整、常にソプラノ主導の音楽にならずそれぞれの吹き手が音楽を引っ張っていくところなど、素敵なポイントが随所に見られた。

ラフマニノフの「ヴォカリーズ」の美しいメロディ(誰の編曲だったのだろう?)を経て、演奏されたフランセも面白かった。この曲、確か楽譜上ではfffやらpppや、妙に高低差が激しいダイナミクスが書いてあったはずで、団体によってはそのダイナミクスをかなり忠実に表現しようとする演奏もあるのだが、GRSQの演奏はサクソフォン巡航速度的ダイナミクスをベースに、音色の変化でもってエスプリを聴かせてしまうような演奏。新鮮な解釈に驚いた。

後半は、マイケル・トークの「June」…じゃなかった「July」から。自分も演奏したことのあるミニマル・ミュージック風の作品で、とにかく演奏者はツラいのだが、こちらも見事な演奏だった。ところでマイケル・トークは「July」の連作となる「May(5月)」「June(6月)」を2010年に発表しており、どんな作品かは判らないのだが、日本のどこかの団体が演奏してくれないかと心待ちにしているのだ。

ガーシュウィンの「ポーギーとベス」も、驚き。官能的な「サマータイム」から始まるメドレーで、ベンド入れまくり、音色変えまくりの吹っ切れた演奏だったが、全く不自然に聴こえず、ちゃんとしたポップスの1つの作品として聴けてしまったことが不思議だった。コンサート後に小田桐さんと飲んでいてその理由が判ったような気がしたのだが、シャクリ一つとっても全て放物線上にちゃんと乗っている自然な奏法だったせいかな…と。そして大曲シュミットは、まさに体当たりの演奏、終始圧巻であった。アンコールは、山本哲也さんの新曲「グリーン・バラッド」。美しい、アンコールにふさわしい小品。

終演後は、打ち上げ会場で小田桐さんと飲み。ついつい色々な話題が飛び出し、長居してしまった。メンバーの方とも少しお話できて良かった。

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