2012/02/29

塙美里さんのリサイタル録音

先日行われたリサイタル、私は仕事の都合で伺えなかったのだが、ライヴ録音のCDとDVDを頂戴した。お気遣いいただき、塙さんにはこの場を借りて感謝申し上げる次第。

【塙美里サクソフォンリサイタル2】
出演:塙美里(sax)、酒井有彩(pf)、人見遼(vc)
2012年1月13日 19:00開演
会場:仙川アヴェニューホール
プログラム:
I.ストラヴィンスキー - イタリア組曲
D.トリフォノフ - 舟歌、タンゴ
M.スコリック - スペイン舞曲
A.リャードフ - プレリュード第1番
D.カバレフスキー - 即興曲
A.ドヴォルザーク - ソナチネ
M.グリンカ - 悲愴的三重奏曲
L.グリェーミ - 薔薇色の人生
J.S.バッハ - ガヴォット

第一回のリサイタルについても、飛行機遅延のせいで到着が大幅に遅れ、DVD・CDを送って頂いたことを思い出した。あの時は、すべてアルトサクソフォンで、フランク、ドビュッシー、シューマンなど大曲揃いだったが、3年を経てさらにパワーアップした塙さんの演奏姿が聴ける/観られることとなった。選曲のコンセプトも良く見え、リサイタルというものはこうあるべきだ、という思いを強くする。

ソプラノの音色を聴いたのは初めてかもしれない。ジュリアン・プティ氏に2年間?に渡って師事した経験は、塙さんにとっては大変貴重なものであったようだが、そのプティ氏が得意とするソプラノの語法を、見事に吸収し自らのものとしている。ブラインドで聴けば、フランス人の演奏と言われても信じてしまうかもしれない。楽曲ごとに柔軟に音色をフィットさせつつも、一貫して音楽の流れを引っ張るパワーが共存している。よく練られた他楽器とのアンサンブルも魅力的だ。ピアノやチェロなど、単純な縦線だけではない、ニュアンスや音色のアンサンブル、という部分に踏み込もうとしていく意識の高さがある。

各作品における演奏の変化も聴きどころである。「イタリア組曲」は、冒頭のAuftaktの引っ掛かりがあるメロディから、最終部の怒涛の音のバラマキまで、表情をころころと変えていくし、塙さん自身が大好きだというトリフォノフ(第14回チャイコフスキー国際コンクール優勝のピアニスト)では、こだわりというか慈しみが聴かれる…3年前の演奏に比べて、思い入れはそのままに、楽曲を客観的に捉える部分がさらに強化されているように感じた。

トリオも面白い。これもおそらくプティ氏と奥様(チェリスト)に影響を受けたものだろうが、三者がブレンドした時のえも言われぬ響きは…これはぜひライヴで体感したかった。

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