2011/05/29

Life-Work Project Vol.1 ~サクソフォン・ファミリー大集合!~

宮崎真一さんといえば、やはり私にとってはウェブサイト:SAXOLOGIEなのだが、演奏を聴きに伺ったのは初めてだった。サイトの存在を知ってから10年になるのか…(^^;

【Life-Work Project [東日本大震災支援チャリティコンサート・シリーズ] Vol.1 ~サクソフォン・ファミリー大集合!~】
出演:宮崎真一、各川芽(sax)、小埜寺美樹(pf)
日時:2011年5月28日(土曜)15:00開演
会場:石森管楽器B1Fイヴェントスペース
プログラム:
H.ヴィラ=ロボス - ファンタジア [tsax]
S.シュワルツ - ポピュラー(ミュージカル:Wickedより) [ssax]
E.グラナドス - 間奏曲 [bsax]
P.モーリス - プロヴァンスの風景 [asax]
F.プーランク - トリオ [ssax, tsax]
C.グノー - アヴェ・マリア [snsax]
C.サン=サーンス - 象 [bssax]
R.ヴィードーフ - Sax-O-Phun [c-melody]
A.プライヤー - 口笛吹きと犬 [sprlsax, bssax]

会場にずらっと並んだ大小のサクソフォン。さすがにコントラバスやTubaxはなかったが、宮崎真一さんと各川芽さんの総力を結集した楽器ラインナップは、開演前から多くのお客さんの目を引いたようだ。楽器のメーカーのことは良く知らないのだが、例えばあの不思議なラッカー色のテナーサックスはどこのメーカー製の楽器だったのだろうか。ソプラノは、これはどうやらクランポンの赤ベル!珍しい。

演奏は、宮崎真一さんが演奏するテナーサックスによる「ファンタジア」から始まった。ほとんど残響がない石森管楽器B1Fの地下一階という場所で、「ストン」と腑に落ちるまあるく美しい音が印象的だ。第1楽章で盛り上がってしまって(ファンタジアってそういう曲)、楽章間で拍手が起こるのもなんだか今日は心地よい。第2楽章では、ふと気がつくと循環呼吸まで使いながら長大なフレーズを重ね、後半には特殊奏法まで入れ込むサプライズも。

シュワルツは各川芽さんのソプラノサックス。ミュージカルの挿入歌の一つということで、実は初めて聴いた曲だったが、ちょっと技巧的なリズムの不思議な楽しさを持つ作品だった。ソプラノサックスの軽やかな音色が、とてもよくマッチしていた。あとで調べてみたら、これってウィキッドのグリンダのアリアなのですね。「ゴイエスカス」はバリトンサックスによる演奏だったが、そういえばトゥイラールトもこの曲をバリトンサックスで吹いていたなあ。このゆったりとした曲調は、アルトで演奏されるよりも合っているように聞こえた。

プロヴァンスを演奏して、休憩。休憩後は、前半からさらにパワーアップしての演奏。まずはプーランクの「トリオ」、もちろん全曲。サクソフォンで演奏できるユニゾンの音楽の中では、デザンクロの第1楽章の再現部に匹敵する美しさをたたえたこの曲を、各川芽さんのソプラノサックスと、宮崎真一さんのテナーサックスで。ピアノとのアンサンブルも見事で、残響もないなかで生々しい音が眼前に迫る、すばらしい演奏だった。

グノーは、各川芽さんのソプラニーノ。現在の日本を代表するソプラニーノ吹きが塩安真衣子さんだとするならば、各川さんは、間違いなく一つ上の世代の日本を代表するソプラニーノ吹きだろう。この音程にシビアな作品を、あっけにとられるほどのコントロールで、純粋に旋律の美しさを提示するためだけに吹ききってしまうのが、凄い。しかし、あまり無理やりコントロールしているようにも見えないのが不思議。

サン=サーンスは、宮崎真一さんのバスのソロ。なんと、「ラガデル・ダイナミック・アタッチメント奏法」を駆使しての(笑)演奏。客席も大ウケ。さらにCメロディサックスを使った宮崎真一さんの「SAX-O-PHUN」が演奏されたが、これがまた凄いの何のって。名人芸・職人芸とは、まさに眼前にいる観客を楽しませるために存在する、ということを実感した見事な演奏だった。、ちょっとテアトル的な要素も入り(たしかに映像の中のヴィードーフだってそのように吹いている)本当に楽しい演奏だったなあ。

最後は「口笛吹きと犬」。良く聴く小品だが、なんとソプリロ・サクソフォンとバス・サクソフォンによる演奏!最後の最後で、再び度肝を抜かれた。こんなドンピシャな音程で演奏されるソプリロ・サクソフォンなんて、聴いたことがない…。犬の声まで完璧に再現されて、客席大盛り上がりのまま終演した。

このL.W.PRJは、継続的支援を目指して今後も第2回、第3回と続いていくとのこと。第2回は2011年7月31日に、「テノール vs. テナーサックス」というテーマ開催予定。都合のつく方は、次回以降、ぜひいかがだろうか。私も予定が合えばまた伺いたいと考えている。

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