2011/03/07

Clover Saxophone Quartet "Precious"

先日のクローバー・サクソフォン四重奏団の演奏会の時に、会場で購入したCDである。待望のセカンドアルバム…のはずだが、そういえばまだファーストアルバムを手に入れていない(!)。版元も大きいし、いつでも手に入るだろうと油断しているせいで、購入が先延ばしになってしまっているのだ。というわけで、録音媒体としてはセカンドアルバムが初聴きとなった。ちなみにこのアルバム、なんとレコード芸術「特選盤」、音楽の友「今月の推薦盤」、読売新聞「推薦盤」に選ばれたそうだ!

「Precious(King Records KICC 909)」
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第1番作品53
A.デザンクロ - 四重奏曲
F.シュミット - 四重奏曲作品102
J.S.バッハ/伊藤康英 - G線上のアリア

サンジュレ、デザンクロ、シュミット、そしてアンコールとして配置された「G線上のアリア」という王道のプログラムからして、メンバーがこのアルバムにかける気合いの大きさを感じる。また、クローバーSQの実演の素晴らしさを知っている私からすれば、この並びを見るだけでワクワクしてしまうというものだ。

収録されている演奏も、期待通りである。サンジュレの冒頭から、極上の音色と均整のとれた楽器間バランス、そして豊かな音楽性などに安心して身を委ねることができる。先日の演奏会でも演奏された第4楽章が好きだなあ…。この時代のサクソフォンでこそ、敢えてサンジュレを演奏する意味があるのだという主張が聴こえてくる。往年のフレンチスタイルな演奏も好きだが、これはこれで良いなあ。

デザンクロは、第1楽章がかなりアグレッシヴな感じで始まり驚かされるが、隅々まで神経を行き届かせた構成に感心する。どちらかというと、第1楽章の主題提示部はユルフワ系(なんじゃそりゃ)が好きなので、ちょっと自分の趣味からは外れるかな。展開部はかなりそのアグレッシヴさが良い方向に働いていると感じたのだが。第2楽章で、朧気な音色とともに長いフレーズをじっくりと歌っていくあたりはさすがである。第3楽章のめまぐるしく曲想が変わる様子を、こちらも見事に表現している。

Thunderさんが絶賛していたシュミット。いや、これも凄いですよ。第1楽章は(誤解を恐れず言えば)初めて聴くような解釈であり、その内面を掘り下げるような激烈なフーガにおののいた。シュミットは、デファイエ四重奏団の演奏を度外視とすれば、Syrinx Saxophone Quartetの演奏がこれまでのベストだったが、私の中ではそれと同格かそれ以上の録音かもしれない。特に第3楽章のようなゆっくりとした部分では、クローバーSQに軍配が上がりますね。

ということで、この時代にサンジュレ?デザンクロ?シュミット?とか思っている方には、ぜひ聴いてみてほしいと思う。現在は、Amazon等で購入可能である。

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