2011/02/23

クローバーSQ 2nd CD発売記念リサイタル

【クローバー・サクソフォン・クヮルテット 2nd CD発売記念リサイタル】
出演:クローバー・サクソフォン・クヮルテット(林田祐和、田村真寛、貝沼拓実、坂口大介)
日時:2011年2月23日(水)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
プログラム:
J.S.バッハ/栃尾克樹 - イタリア協奏曲
C.ドビュッシー/伊藤康英 - 小組曲
林田祐和 - Passion
伊藤康英 - 四重奏曲第2番
F.シュミット - 四重奏曲

クローバーSQの演奏会。水曜日は残業規制がかかっているため、余裕を持って会場に到着することができた。二日連続の東京文化会館参りである。そういえば、クローバーSQのデビューリサイタルも、同じ東京文化会館の小ホールであった。この時の演奏は、私も聴いている。

到着してプログラム冊子を眺めてみると、なんと「ミステリアス・モーニングII」がない!ええっΣ('д`/)/!!と思って端に書かれた注意書きを読むと、プログラムが変更になり、代わりに伊藤康英先生の「四重奏曲第2番」が演奏されるとのこと。大ショック…かなり楽しみにしていたのに。今日来た目的の70パーセントくらいが「ミステリアス・モーニングII」だったため、あまりのショックに呆然としたまま、いつの間にか開演時間となった。

バッハ。東京文化会館の小ホールでバッハの「イタリア協奏曲」というと、ずいぶん前に来日したハバネラSQの演奏を思い出す。あの時も一曲目が「イタリア協奏曲」だった。さすがの演奏で、第2楽章冒頭の和声などこれまて聴いたことのないような厳粛な響きで始まるし、第3楽章の疾走感もまるでグレン・グールドのように生き生きと聴かせるし(バリトンの難所も難無くこなす)。さすがだ。そういえば、この曲を始めとして、林田さん、ずいぶんヴィブラートの質が変わったなあと(細かく&下に広く)思った。

二曲目は、伊藤康英先生のアレンジによるドビュッシーの「小組曲」。小舟が始まった瞬間に、「フランスの和声」が聴こえてきて感心!アレンジもの、しかもフランス物をやるなら、こうでなくっちゃ!アレンジ、演奏ともども素敵な感じで、いつだか演奏された同じくドビュッシーの「ベルガマスク組曲」とは比べ物にならない完成度だと思った。細かい仕掛けが各所に織り込まれ、うーん、これは出版されたりしたら流行るかも?

第一部最後は林田さん作曲の「パッション」。「ストレンジ・フォー・カラーズ」もそうだが、到底いちプレイヤーの余技?とは思えないほど濃密に書かれたスコア。しかも、クローバーSQのテクニックを熟知して書き付けられており、演奏者がギリギリのところでせめぎあうドライブ感がたまらない。最近は新曲がないのだろうか?もっといろいろと書いてほしいなあ。

後半は、伊藤康英先生の「四重奏曲第2番」。私も今日初めて聴いたのだが、これは「ツヴァイザムカイトシリーズ」「協奏曲」「幻想協奏曲」といった、かなり康英先生が作曲する音楽が尖っていた時期のものだそうだ。「ツヴァイザムカイト」は特定の音列をベースに構築されることが多いが、この作品のテーマは「民族音楽的な微分音」。その通り、まるで音楽の始源へと還っていくような/はるか遠くから呼ばれるような響きが印象的である。20年以上前の作品だが、もの凄くカッコいい!第1楽章は短いアレグロ…続いて中間部の四つの楽章を各楽器の即興フレーズで繋いだあとは再び第1楽章と近い外観をした終楽章が奏されるが、最後は西洋音楽の和声が出現する。ここの響きは実に"甘い"トライアド(たぶん)。「ミステリアス・モーニングII」を聴けなかったのは残念だが、この曲の演奏でだいぶテンションが上がった。

最後はシュミット。リズムとアーティキュレーションのコントロールは想像を絶する。"スタイリッシュ"という言葉がそのまま当てはまる演奏であり、マルセル・ミュール四重奏団の演奏と聴き比べてみると、まるで別の曲である。作曲家が聴いたら、(もちろん良い意味で)飛び上がって驚くのではないかな。

アンコールに、新CDにも収録されたサンジュレ「四重奏曲第一番」の第4楽章を。実は、これが驚きの名演!うーん、なんとなくクローバーSQとは相性が良さそうな曲だが、こうして実際聴いてみるとますます良いな。…ということで、CDも買いました(笑)。そのうちレビューします。

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