2010/12/14

Red Line Saxophone Quartet "Back Burner"

ダグラス・オコナー Doug O'Connorといえば、第2回ジャン=マリー・ロンデックス国際サクソフォンコンクールで2位に輝いたことでも有名な奏者である。オコナー氏に関連するキーワードは、例えばイーストマン音楽院であったり、クリスチャン・ロバ「Worksong」の委嘱者であったり、Chien Kwan Linの弟子であったり、Red Line Saxophone Quartetのソプラノ奏者であったり…というところなのだが、そのRed Line SQのCDを入手した。この四重奏団は近年のアメリカの室内楽コンクールで入賞しまくっており、アメリカの次世代を代表する四重奏団となることが期待されている。

「Back Burner(private)」と名付けられたCDは、彼らの実質的デビュー盤。なにが面白いって、あのディヴィッド・マスランカ「レシテーション・ブック」が収録されているのだ!商用録音として同作品をとりあげた団体は、雲井雅人サックス四重奏団に続いて2番目となる。マスランカ氏自身もRed Line SQに対して"...extraordinary. I think that your quartet is now among the very best."との賛辞を寄せており、これは気になる!ということで購入してみた。収録曲目は、以下。ティケリ、マスランカにゴトコフスキーですかい。なんとまあ重いプログラムだ。

Frank Ticheli - Back Burner
William Byrd - Motet: Ave verum corpus
David Maslanka - Recitation Book
Ida Gotkovsky - Quatuor
Jean Matitia - Trap Rag

フランク・ティケリについては、作曲家の名前は有名だが、こんな四重奏曲を書いていたとは知らなかった。しかも作曲されたのは1988年(ずいぶん昔だ…)ということだ。複雑にフレーズが絡み合った高難易度の曲で、下手に触るとヤケドしそうなほどの近寄り難い作品だが、Red Line SQの面々はこの作品を見事に演奏している。さらに、曲に内在するグルーヴをも見事に引き出しており、一曲目からノックアウトされてしまった。ウィリアム・バードのような作品も、手加減なし。音楽の密度はますます高まっていく。

さて、「レシテーション・ブック」だが、あまりに上手すぎてびっくりした。自分たちでも吹いたことがあるせいか、余計にその異常さがわかるのだが、例えば第5楽章のファンファーレとか、その後に続く変奏曲とか、ちょっと人間の域を超えているのではないか、というような楽器のコントロールやアンサンブルを聴くことができる。いやあ、マイッタ。ゴトコフスキーも同じで、どこまでもクール、そしてハイレベル。ただし、個人的な意見としては、マスランカもゴトコフスキーも、自らを演奏の中に没入させたときの感動というものもあると考えるのですよ。ちょーっとだけ、上から目線のようなものを感じてしまって(^^;

ジャン・マティシア「トラップ・ラグ」は、録音としても貴重だ。マティシアのファン(そんな人いるのかな?)は要チェックでしょう。この曲でRed Line SQがタップダンスと共演する様子をYouTubeで観ることができるので、こちらもぜひ。

CDの入手先だが、彼らの公式ページからどうぞ。支払いはPayPalで行うことができる。

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