2010/10/08

Rollin' PhonesのCD

スウェーデンのサクソフォン四重奏団であるRollin' PhonesのCDは、私がサクソフォンにハマった最初期に聴いたサクソフォン四重奏のアルバムのひとつである。当時クラシックサクソフォンの情報すら手に入れることもままならない高校生だったが(インターネットも発展途上だった)、同じ高校の卒業生の方が部活に10枚近くのクラシックサクソフォンのCDを寄贈してくれたことで、私たちはそのCDを通してプロフェッショナルなサクソフォンの世界に触れることができたのだ。このCD(BIS CD-466)は、その中の1枚である。BISレーベルだということで、後にNMLなどでも聴くことができた。

その頃の私はあまりに知識がなさすぎて、例えば「Jean Baptiste Singelée - Premiér Quatuor」というジャケット裏面に書かれた情報を見ても、この言葉のどの部分が作曲者の名前で、どの部分が曲名なのか、まったく判別できなかったことを思い出す(結局2つ上の先輩に教えてもらった)。もちろん、レーベルがBISだとか、そんなことにも全く興味なし。なんとなく聴いていただけだ。ただ、下記のようなサクソフォン四重奏の名曲が入っていたことは幸いだった。さらに良かったのは、ほぼ同時にトルヴェール・クヮルテットの新譜「マルセル・ミュールに捧ぐ(EMI)」を買っていたため、聴き比べができたことだ。ボザ、フランセ、グラズノフと、3曲も重なっていて、団体によってずいぶん演奏が違うものだなと素直に感じ入ったのだった。

Jean Baptiste Singelée - Premiér Quatuor
Eugéne Bozza - Andante et Scherzo
Jean Françaix - Petit quatuor
Alexandre Glazounov - Quatuor, op.109

そういえばこの団体、女性のみで結成された数少ない四重奏団のひとつ。ストックホルム王立音楽アカデミーに在籍していたメンバーで1986年に結成された。現在ではかなりメンバーが変わっているようだが、CD録音当時のメンバーは、Pia Nilsson(ssax)、Lotta Petersen(asax)、Annien Sjostrom(tsax)、Neta Noren(bsax)となる。ちょっと面白いのが、ソプラノからテナーまでをクランポンのプレスティージュで統一していること。さすがにバリトンは入手が難しかったのか、セルマーのサクソフォンを使っているが、確かに全体を通してクランポン特有の?優しい響きを堪能することができる。

ちょっと残念なのは、響きを出すことに傾倒しすぎて、やや音楽の流れが停滞気味なこと。単純に、テンポが遅いと言ってしまえばそれまでなのだが、サンジュレやグラズノフではそれがプラスに働く部分もあるが、さすがにボザやフランセなどはもっと"軽妙酒脱"という感覚で吹いて欲しい。あ、あと、プレスティージュのテナーの低音部分はコントロールが難しいのだなあと…(^^;さらに言えば、まるでお風呂場のように、録音がイマイチ…(^^;;;

と、文句ばかり書いてしまったが、CDの隅から隅まで、ちゃんと丁寧に作りこまれているのがよく判る。CD一枚出すのって、(今でもそうだが)ちょっと前までは大変なことだったんだよなあ。いちおう、Amazonでの購入リンクも書いておきます→こちら

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