作曲家&ピアニストのパーシー・オルドリッジ・グレインジャー Percy Aldridge Grainger(1882 - 1961)とサクソフォンの関わりについて。
グレインジャーは、幼少より母からピアノのレッスンを受け、10歳の頃までに、いくつかのコンサートに出演している。1894年にはドイツにわたり、フランクフルトにおいてジェームス・クヴァストに教えを受けた。さらに、ドイツでは数回、ブゾーニにもレッスンをけている。1900年にイギリスを活動拠点と定め、このころ南アフリカとオーストラリアへ演奏旅行に行っている。
この通り、ピアノ畑の出身であったグレインジャーだが、サクソフォンとの出会いは1904年頃とされている。彼は、ロンドンのBooseyから楽器法を学ぶために、いくつかの管楽器を借りたのだが、その中にサクソフォンがあったのだ。そのころ、まだサクソフォンは楽器として十分な市民権を得ていなかったが、彼は、クワイア、吹奏楽、オーケストラの中でのサクソフォンが使われていくことに、に大きな可能性を感じたという。
グレインジャーは1914年にニューヨークへ移住し、翌年デビューを果たした。1917年6月、楽隊員としてアメリカ陸軍に入隊。フォート・ハミルトンの第15歩兵団に配属され、ここでオーボエとサクソフォンの演奏を学んだ。この楽団でアレンジャーの仕事を与えられるまでは、ずっと演奏者として活動していたという。
グレインジャーがサクソフォンのために手がけた作品リストは、こちらのリンクから見られる。自作の他、バッハの作品のアレンジなども行っている。これらの曲のほか、もちろん吹奏楽曲などにおける用例が豊富なことは、言うまでもない。オーケストラ作品でも「ヒル・ソング」などに用例が見られる。
サクソフォン・クワイアのための作品の自筆譜は、大英博物館、Upsala Collegeの図書館、ニューヨークのPercy Grainger Collectionなどに所蔵されている。
最後に蔵出し写真を一つ(クリックすると拡大)。カーヴド・ソプラノサクソフォンを携えたグレインジャーの写真。1917年にニューヨークで撮影されたものであるとのこと。
おお、この写真をジャケットに使ったCD持ってます。たしか第一次世界大戦に従軍の際に撮影したんじゃなかったでしたっけ。
返信削除そのグレインジャーのサクソフォンクワイアーの楽譜リストとかって存在しないんですかね~?
返信削除実は数年前にその楽譜の情報を知った時に、グレインジャーのサクソフォンクワイアー楽譜を大英博物館で閲覧する為だけに実際に現地で探した事があるんです。
でも、クワイアー楽譜の楽譜は見つからなかったんですよ…。涙
所蔵が発見できたのは、6重奏~9重奏のアレンジ作品の楽譜でした。
サクソフォンクワイアーの楽譜は残念だったのですが、ホルストの1組2組、ヴォーンウィリアムスのイギリス民謡の本物直筆譜面を拝見できました。
両作品共、今日の僕のアレンジ作品(ホルスト1組2組、イギリス民謡組曲)の元となった大切な収穫でした。
グレインジャーのサクソフォンクワイアー作品の情報ありましたら是非教えて下さい!
> mckenさん
返信削除1917年撮影ということなので、そのようですね。そのCD気になります。なんのCDですか?
> 柏原さん
返信削除おおお~さすが専門家ですね!大英博物館で楽譜を参照されたことがあるのですね。
そういえば、最近の伊藤康英先生のツイートでも、大英博物館でホルストの楽譜を見たという旨が書いてありました。
ロンデックスの作品辞典にも、グレインジャーの作品リストにはクワイアが掲載されていません。記事中にリンクを張った作品リストをご覧いただいても判るように、グレインジャーのオリジナルは9重奏までのようですね。これらの楽譜は、各パート1名以上で吹くことが想定されていたものなのでしょか?