2009/12/11

Quatuor de saxophones contemporain plays Aubert Lemeland

島根県のF様より、LP復刻のCD-Rを、また何枚か送っていただいた。今日ご紹介するのは、Quatuor de saxophones contemporain(以下、Contemporain SQ)のアルバムで、Aubert Lemelandという作曲家の作品集。Contemporain SQは、連載「ダニエル・デファイエの生徒たち」で何度か話題にしているのだが、ジャック・シャルル Jacques Charles氏が率いた四重奏団で、同世代の作曲家たちに積極的に作品を委嘱し、多くの初演を手がけた団体である。もちろん、現在は存在せず、その活動実態はいまいち掴めなかったのだが…。ちなみに、このアルバムに参加しているメンバーは、SATBの順にJacques Charles, Pierric Leman, Ghislain Mathio, Max Jezouinである。

そして、このLPで取り上げられているオーベール・ルムランは1932年生まれの作曲家。今回CD-Rを送っていただくまで、名前を存じなかったのだが、サクソフォンの作品を大量に書いているようだ。演奏されているのは、以下の4曲。

Concertino, Op.103
Variations, Op.57b
Noctuor, Op.93
Epilogue nocturne, Op.22

おそるおそる聴いてみると、意外なほどの聴きやすさに驚く。メロディは、トンがった現代音楽にありがちなわけのわからなさは全くなくて、はっきり言って「美しい」。作品のせいなのか演奏のせいなのか判らないのだが、リズムがずいぶんと身を潜めており、微温的というかなんというか、実に不思議な密度を湛えた演奏だ。

ジャケットの縮小コピーを付けてもらったので、ジャック・シャルル氏による作品解説を、ざっと翻訳してみた。相当意訳な部分もありますが、ご勘弁ください(^^;

今回、アーベール・ルムラン Aubert Lemelandがサクソフォン四重奏のために書いたすべての作品が、初めてレコーディングされた。これらの作品は、ルムランがギャルド・レピュブリケーヌ四重奏団のために「Epilogue Nocturne」を作曲した1971年から、Concertino, Op.103を作曲した1980年までの間に、作曲されている。Concertino(Contemporain SQに献呈)は、Noctuor(1978年)とともに、シカゴのサクソフォンコングレスで初演された。Variationsは、1977年に作曲され、クラリネット版も制作されている。
ルムランは、サクソフォンに対する嗜好が強いようであり、それはこれまでの作品に現れている。「サクソフォンと弦楽のための四重奏曲」「オーボエ、サクソフォン、クラリネットのためのテルツェット」「ソプラノサックスとピアノのための"Epitaph to John Coltrane"」「ソプラノサックスとピアノのための"ウォーキング"」「Paul Pareille Ensembleのための"Reed Quartet"」などである。
1971年に作曲された「Epilogue Nocturne」は、いくつかのメロディを含むゆっくりな楽章で構成されている。楽章に含まれるメロディは、瞑想的な雰囲気を持つ旋律線が、ポリフォニーの中に組み込まれ、密度の大小を繰り返すようなものである。これにより、作品に対して、永遠につづくかのような感覚を与えることに成功している。「Noctuor(NocturneとQuatuorを掛け合せた造語である)」は、連続して演奏される3つの楽章のなかで、作曲者は、サクソフォンの表現力の豊かさと比類なき柔軟性を現わしている。楽曲の最終部には、コラール風のコーダが挿入されている。「Concertino」は、2つの対照的な楽章(ゆっくりな楽章と速い楽章)から成り、一週間もかからずに書かれたという。この9分の短い作品は、後に管弦楽曲「Ultramarine Noocturne」に転用された。ほとんどのメロディラインが、この四重奏曲から採られている。同作品は、トゥールーズ・キャピトル管弦楽団によって、1982年2月に初演されている。最終部のプレストに入る直前、2つのリズムが出現するが、そのうちひとつは高潔な音でもって演奏されているのが判るだろう。「Variations」は、テーマと8つの変奏からなる作品である。変奏は、ダイナミックなもののあとに続いて緩やかなものが演奏され、それはさながら生命のバイオリズムのようでもある。

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