2009/12/02

福井健太さんのリサイタル「サックスの時間」

【福井健太Recital「サックスの時間」】
出演:福井健太(sax)、小柳美奈子(pf)
日時:2009年12月2日 19:00開演
会場:東京オペラシティ リサイタルホール
料金:一般4000円 学生3000円
プログラム:
Jean Baptiste Singelee - Caprice Op.80
Jean Baptiste Singelee - Fantaisie Op.50
Jean Baptiste Singelee - 7éme Solo de concert Op.93
Paul Creston - Sonata
Robert Planel - Suite romantique
Jacques Ibert - Concertino da camera
Wilhelm Franz Ferling - Etude No.1 (encore)
Jean Michel Damase - Vacanse (encore)

折しも、東京での初リサイタルとなったようだ。

サンジュレの三曲は、ソプラノ→テナー→バリトンという順番で、アルト以外の三本を持ちかえての演奏。クリスティアン・ペータース氏や、ドゥラングル教授のCDで聴いたことこそあれど、今まで実演として聴いたことはほとんどない。けっこう良い曲なのだが。古典的なスタイルに即した、端正な解釈を打ち出してくると思いきや…かなり「うた」を全面に押し出したアプローチで、良い意味での自由奔放なサンジュレを楽しんだ。録音媒体でない、ライブならではの演奏であったと感じた。ソプラノのキラキラした音、テナーのふくよかな音、バリトンの太く芯のある音、どれも魅力的だ。

クレストンは、こちらも実演で聴くのは初めてかも。今どき、クレストンがリサイタルで取り上げられることも少ないと思うが、敢えて取り上げるのは、自信の表れか、それともクラシックサックスをほとんど聴いたことのない方に向けた選曲だろうか。(聴いていた位置のせいかもしれないが)意外とコンパクトにまとまった音楽で、小回りを利かせながら、クレストンらしいリズムを完璧にハメたときに表出するグルーヴ感を味わった。

休憩をはさんだ後のロベール・プラネル「ロマンティック組曲」は、本日の白眉であったと思う。実は、6曲全部演奏すると20分弱に及ぶという大曲(?)なのだが、それぞれの楽曲のスタイルを、見事に描き分け、まったく聴き手を飽きさせない。「哀しい歌」と「ロバ使いの歌」など、同じサクソフォン奏者が演奏しているとは思えないほどであった。

イベール。これは、今回のリサイタルの軸として取り上げたのだそうだ。プロフェッショナルのサクソフォン奏者が一度は通る道だが、やはり愛着が感じられたなあ。小柳美奈子さんのピアノも、素晴らしかった。冒頭のドミナントな響きからしてビビビときて、そのまま最後までいってしまった。改めて、こうして聴いてみると、非常に細かい音符並びの曲であり、エスプリを振りまきながら疾走する様相に、聴き入ってしまう。

こんどは、がっつりした曲をずらりと並べて聴いてみたいなー。福井さんの演奏というと、前田ホールで聴いた「デスノート・コンチェルティーノ」が忘れられないのだ。

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