2009/11/20

ダニエル・デファイエの生徒たち(その9)

[1976]
新作課題曲:
Jean Michel Defaye - Ampélopsis
1er prix:
Ghislain Mathiot
Daniel Kientzy
Patrice Saouter
Max Jézouin

この年度でもっとも注目すべきは、なんといってもダニエル・ケンジー氏だ。同時代の作曲家たちの作品を積極的に取り上げ、これまでに献呈された作品は300以上、リリースしたディスクは70~80枚にも及ぶという、ある意味史上最強のサクソフォニスト。教育活動は一切行わず、世界を駆け巡って次から次へと新作の初演を手掛けているというから、驚きだ。

ケンジー氏について、このブログでもたびたび取り上げているので、このページあたりをご覧いただくと良いかなと思う。

もともとはリモージュ音楽院の出身で、そこからパリ音楽院のデファイエ・クラスに入学したとのこと。1983年に、SACEM賞を受賞。どうやら、ちょうどその頃から精力的に新作の初演を行っているようだ。あのデファイエ氏のクラスを卒業して、コテコテの現代音楽分野に身を投じるというのも面白いが(デファイエ自身、それほど現代音楽や特殊奏法を好んで取り上げることはしなかっと聴くし)、ケンジー氏が、そういった方面に突き動かされた理由は、何だったのだろうか。気になるところだ。

ケンジー氏に関して取り上げなければならない、有名な著作が二点ある。重音のバイブルとも言うべきリファレンスである「Le sons multiples aux saxophones(Salabert)」と、100の特殊奏法を網羅したCD付きの論文「Saxologie」。いずれも、サクソフォンの現代奏法に関わる作曲家・演奏家必携の書籍であり、お世話になっている方も多いはず。私も、両方持ってます。

さて、この年の新作委嘱曲はジャン=ミシェル・デュファイの「アンペロプシス(野ブドウ)」。デュファイと言えば、クラリネットにかかわったことがある方ならば、「オーディションのための6つの小品」という作品タイトルは、どこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。そう、サクソフォンの作品も手掛けているのだ。他の作品として、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のサックス五重奏団のために「ディアローグ」を書くなどしている。

Ghislain Mathiotは、1975年卒業のジャック・シャルル率いるQuatuor de saxophones contemporainにテナー奏者として参加していた。Max Jézouinも、同アンサンブルのバリトン奏者。Mathiot氏は、現在はAdsnieres音楽院の教授。Jézouin氏は、Angoulème音楽院教授。Patrice Saouterは、Lorient音楽院教授。うーん、ケンジー氏以外は、あまり際立った情報が見つけられないな。

さて次回、1977年は、デファイエ・クラス伝説の年(?)。著名なプレイヤーが名を連ねます。お楽しみに。

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