2009/10/22

Quatuor Carré Mêléのアルバム

ジュリアン・プティ氏関連のアルバム第2弾。プティ氏がソプラノサックスを吹いている、Quatuor Carré Mêléのアルバム「Saxophares et Sémaphones(CM01/1)」をご紹介。Quatuor Carré Mêléは、1998年にパリ国立高等音楽院のサクソフォン科の学生により結成されたアンサンブル。2000年にFNAPCの室内楽コンクールで入賞しているほか、2002年にはラジオ・フランス絡みで賞を受けているということ。メンバーは、以下の通り。バリトンのシャプラン氏だけが2002年卒業(ジェローム・ララン氏と同期、井上麻子さんの一個上)で、その他の3人が2001年卒業とのこと。2001年の卒業というとあれですね、鈴木純明氏の「凧」が課題曲だった年ですねえ。

Quatuor Carré Mêlé
Julien Petit, soprano saxophone
Olivier Besson, alto saxophone
Ronan Baudry, tenor saxophone
Nicolas Chapeland, baritone saxophone

この不思議なアルバムタイトルは、たぶんあれかな、saxophoneとsemaphore(信号とか合図の意)を掛けたのだと思う。その意図することころはイマイチ良くわからない(解説がフランス語なので)のだが、このアルバムを聴くのに言葉は必要ないなと感じた。プログラムは、以下。

J.Whelan - Trip to Skye
R.Becker - Le marchand de chaussures électriques
R.Gary - Saxophares et Sémaphones (text)
Y.Chauris - Graal en quête
Traditional - An awen
R.Becker - Chant d'amour pour Kermaria
B.Menut - Trop breizh
Traditional - Celte O'Carré
B.Menut - Pen enez
R.Becker - Gavotte d'hiver
D.Squiban - Porz qwenn suite
A.Hervé - Celtic Medley

全体的な響きは、民族音楽、ジャズ、ロック、クラシック音楽の融合、といった趣。しかしどれも非常に洗練された響きで、テクニックや音楽も申し分なく、完成度の高いアルバムだ。このアルバムを聴いて何が楽しいかというと、時折非常に耳を刺激する響きを持つ曲がある、ということ。単純にリズムのエッジが立っているとか、カッコイイから、ということではなく、妙に心の琴線に触れる曲があるなあと感じた。

例えば一曲目に置かれた「Trip to Skye(なぜかジャケットにはSkyと書かれているが、正確にはSkyeである)」。テナーとバリトンの導入部に続いて、アルトが何気ないメロディを奏で始めるのだけれど、そのメロディにすっと惹きこまれてしまう。何気なく部屋のステレオ(とは言わないのか?)でかけているCDに、「おっ」と反応してそのまま一曲聴きとおしてしまう、そんな不意を突かれたような幸せな感覚。そこから先も多種多様な楽曲が続くのだけれど、たぶんどの曲が誰にマッチするか、というのは、人それぞれなのだと思う。

私などは、一曲目とか、Chaurisの「Graal en quête」とか、それから伝承音楽の「Celte O'Carré」、さらに最後の二曲あたりにぐっと心をつかまれた(最後のケルティックメドレーは、賑やか!!)。…お。メロディやリズムに心をつかまれるなんて、素敵じゃないですか。あまりサクソフォンのアルバムらしくない、というところも、すっと曲に入っていける理由なのかもしれない。

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