2009/09/17

クローバーSQリサイタル@浜離宮

【クローバーSQリサイタル~奇跡からの進化~】
日時:2009年9月16日(水)19:00~
会場:浜離宮朝日ホール
プログラム:
~第一部~
J.B.サンジュレ - 四重奏曲第一番
C.ドビュッシー/石毛里佳 - ベルガマスク組曲
松岡大祐 - グリーンピース(委嘱初演)
~第二部~
J.アブシル - ルーマニア民謡の主題による組曲, op.90
J.リュエフ - 四重奏のためのコンセール
~アンコール~
J.S.バッハ - G線上のアリア
P.M.デュボワ - 四重奏曲より第4楽章

実は、4年か5年ぶりくらいにお会いする高校の吹奏楽部の先輩と一緒に聴きに伺った。その先輩というのは、高校2年生のころにマルセル・ミュールのCDを私に勧めてくれた先輩で、つまり私がサックスにハマるきっかけを作ってくれた人物なのだ(そのあと飲みをご一緒して、近況報告などしてとても楽しかった)。

浜離宮朝日ホールは、2009年4月から数えて、雲井雅人SQ、ドワジー&スピリタス、クローバーSQと、これで3回目となる。別に浜離宮に行くことを意識しているわけではないのだが、偶然そうなってしまう不思議。ここで何度も演奏会を聴いているが、ホールが持つ響きの美しさは天下一品だろう。しかも、クローバーSQのように、もともと素晴らしい音を持つグループの演奏が、マッチしないわけがない。

プログラムは、古典的名曲のサンジュレから始まった。こういう曲を、抑制されたヴィブラートで「きちんと聴かせて」しまうあたりが、新世代のカルテットだなあということを再確認した。冒頭の極小の和音から始まり、第一楽章の中に起承転結を感じさせ、つい楽章の終わりに拍手しそうになってしまった。メンバーそれぞれの中に、曲に対する共通認識があり、細かい部分は勝手に合ってくる感じ。山奥に湧き出るすきとおった水のような、極上の音色。続くベルガマスクは、石毛里佳さんの編曲。良く演奏される中村均一氏のアルモ版アレンジとは違う世界だったが、「アレンジ」というよりも「トランスクリプション」に近いもので、「アレンジ」としての完成度はアルモ版に一歩譲っているかな、と思った。

委嘱作品の「グリーンピース」は、これはもうクローバーSQの独壇場だなあ!ルーシー・ロベールの「テトラフォーン」を聴いた時の興奮をまざまざと思い出した。この感覚を言葉で表現するのは少し難しいのだが、凝縮された勢い、とでも言えるのだろうか。良く揃ったベクトルの中で、ゴール地点に向かって真っすぐ進み続ける、そんな演奏。曲自体も面白いもので、第1楽章のアレグロから、「トリツカレ男」を思い起こさせるような、カッコいいフレーズがそこかしこに散りばめられている。

第二部は、2つの性格が異なる舞曲。ルーマニアの民謡に題材をとったアブシルに、バロック時代の舞曲を現代風にアレンジしたリェエフの傑作。この第2部が第1部以上に素晴らしかった。楽章ごとにスタイルや音色を極端に吹き分けていて、変幻自在なサウンドを堪能した。特に、リュエフの最終楽章、各楽章を回顧し、めまぐるしくスタイルを変えながら駆け抜けていくロンドの素晴らしかったこと!どちらも長い曲だったが、本当にあっという間だったなあ。

アンコールに、「G線上のアリア」とデュボワ「四重奏曲」の第4楽章。フランセにしろデュボワにしろ、こういった遊び心たっぷりの曲をクローバーSQの演奏で聴くと、本当に幸せになる。同じ系統で、プラネルの「バーレスク」とかフランセの「組曲」とか聴いてみたいなあ…。

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