2009/09/12

アンドレが吹くジョリヴェ「トランペット協奏曲第2番」

アンドレ・ジョリヴェ André Jolivet氏はサクソフォンのためにただの一曲しかオリジナル作品を残しておらず、しかもそれは出版社のAlphonse Leducによって依頼されて書いた小品である。フルートやトランペットといった管楽器のために充実した作品の数々を手掛けたことを考えると、それは少し不思議にも思える。

その独奏曲「幻想即興曲 Fantaisie impromptu」よりもむしろ、ジョリヴェ作品におけるサクソフォン使いの真骨頂は、協奏曲のバック・オーケストラで使用されているといった状況にあると思う。特に、1954年にトランペットのための協奏曲の傑作として名高い「トランペット協奏曲第2番」では、アルトとテナー、日本のサクソフォンが大暴れするのだ。

この曲の私にとってのスタンダード演奏は、Eratoに吹き込まれているモーリス・アンドレ氏の演奏。高校の吹奏楽部のCD棚にポンと置かれていて、そのCDを自宅に持ち帰って聴いたのが始まり。サクソフォンではなくて、トランペットの協奏曲集なんて聴いてたのかと思われるかもしれないが、当時はまだ周辺に"ある"ものを聴くことしかできなかったのである。所持CDも10枚いかないくらいだったしな。「20世紀を吹きまくる!」というアルバムタイトルもなつかしいな。そう、こんなCDが国内盤として発売されていたのである。

当時流行りだして数年経ったばかりのMP3エンコードによるPC録音なんてことを試して、その後もたびたび取り出しては聴いていたが、聴くうちにサクソフォンが含まれていることに気づいた。さらにそのずっとあと、Donaxさんの示唆によって、そのサクソフォン奏者がダニエル・デファイエ氏だということを知ったときは、大変驚いたものだ。ピアノもアニー・ダルコ Annie d'Arcoだし。確かに、この時代にこういう音色や存在感、フレージング能力を持っているサクソフォン奏者って、ほとんどいなかったのではないかな?

指揮にジョリヴェ、コンセール・ラムルー、独奏にアンドレというフランス管楽器界最高の面々。最後まで炎に包まれながら走りきるスーパーカーのような演奏で、一聴の価値あり。

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