2009/08/15

ゴトコフスキーのサックス協奏曲集

必要があって、イダ・ゴトコフスキー Ida Gotkovskyのサクソフォン協奏曲集を(安物のLPプレーヤーを使って)トランスファーした。ずっと昔にLPで入手して、こちらのページにも掲載しているが、聴いたことは聴いたのだがデジタル化はまだ行っていなかったのだった。

珍しや、「悲愴的変奏曲(1980)」のオーケストラ版と、「サクソフォン協奏曲(1966)」が収録されているレコード。BVHAASTという、現代音楽に強いことで有名なレーベルから出版されており(今も存在する出版社)、BVHAAST 066という品番が付与されている。「悲愴的変奏曲」のほうはライヴ録音。

サクソフォン独奏は、エド・ボガード Ed Bogaard氏。あまり有名な名前ではないが、あのアルノ・ボーンカンプ氏の師匠といえば驚かれる方もいるのではないだろうか。ライナーに書いてあった経歴をざっと訳してみたところ、以下のようになった。オランダ・サクソフォン界のパイオニア的存在と言えるだろう。

エド・ボガードは、1943年5月11日にオランダのWeespに生まれた。アムステルダム音楽院とユトレヒト音楽院に学び、彼はその2つの音楽院で一等賞を得て卒業した、初めてのサクソフォン奏者となった。ボガードは現在、アムステルダムのスヴェーリンク音楽院の教授であり、ベルギーのWalloon夏季アカデミーの講師も務めている。ボガードは、教育者としてのキャリアに加えて、国際的なソリストとしても活躍している。これまでに、イスラエル室内アンサンブル、フィルハーモニア・フンガリカ、コンセルトヘボウ管弦楽団、アルスター管弦楽団、ケルン放送交響楽団、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団、オランダ放送室内管弦楽団、ユトレヒト交響楽団、ロッテルダムフィル、デン・ハーグ交響楽団他、多数のオーケストラと共演している。同時代の作曲家とのコラボレーションも多く、作曲家のOtto Ketting、Tristan Keuris、Misha Mengelberg、Hans Kox、Leo Samama、Joep Straesser Walter Hekster、Willem Breuker他から、作品を献呈されている。1968年、ボガードはオランダサクソフォン四重奏団 Netherlands Saxophone Quartetを結成し、アルトサクソフォンを担当している。また、室内楽ではピアノのRonald Brautigamとデュオを結成し、演奏活動を行っている。ボガードはこれまでに、200を超える放送録音に参加しており、その中でGaudeamus弦楽四重奏団とも共演している。

実際の演奏内容だが、今日久しぶりにこのLPを聴き返してみて、初めて聴いた時と同じような感想を持った。「悲愴的変奏曲」のほうは、(技術的な部分はほとんどをクリアしているが)ライヴ録音ということもあって演奏上の傷は若干散見される。しかし、6楽章を順に進むうちにそんなことは全く気にならなくなってしまって、むしろ演奏に内在する気迫のほうが勝ってくるような熱い演奏だ。ゴトコフスキーの音楽って、作曲家、演奏者、聴衆を全て巻き込んで疾走するような演奏になってしまえば、ほぼ100%勝ちであるわけで、まさにそんな演奏。

「サクソフォン協奏曲」…これも久しぶりに聴いたな。パーカッションも入って、トマジあたりの協奏曲にも匹敵する、3楽章構成の壮大な音楽。第2楽章での、冗長かとも思われるほどのドラマ性は、いかにもゴトコフスキー節という印象。1966年に作曲されて、1966年のパリ国立高等音楽院のサクソフォン科卒業試験課題曲となっている。マルセル・ミュールに献呈されたということなのだが、ミュール自身がこの曲を公式に演奏した可能性は低い。独奏のキャリアは、1958年に終えてしまっていたからだ。

聴いたのは本当に何年ぶりというくらいだが、似たような感想を持ってしまうということは、それだけ普遍的な力を持つ演奏なのではないだろうか…というのはこじつけ過ぎかな。

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