2009/07/30

東京サクソフォーン・ソロイスツ

定常的に活動していたという話は聞かないので、Victorがサクソフォン四重奏曲を集めたディスクをリリースする際、おそらくそのレコーディングのためだけに結成された四重奏団ではないだろうか。雲井雅人(s.sax.)、小串俊寿(a.sax.)、岩本伸一(t.sax.)、服部吉之(b.sax.)というメンバー(敬称略)で、次のようなプログラムを演奏している。

A.デザンクロ - サクソフォン四重奏曲
A.ドヴォルザーク/森田一浩 - スラヴ舞曲, Op.72-2
A.ヴィヴァルディ/小栗克巳 - 四季メドレー
G.ビゼー/伊藤康英 - カルメン幻想曲
J.B.サンジュレ - サクソフォン四重奏曲第一番より

このほか、手持ちのCDにはフルート・アンシャンテという団体のフルートアンサンブルがカップリングで収録されている。面白いのがレコーディングの日付で、mckenさんのページのデータによると、ほぼすべての曲目が1993年に収録されたものらしいのだが、デザンクロの第1楽章と第2楽章だけが1996年に録られているのだ。ぱっと聴いた感じ良く分からないが、たぶん編集で響きをいじっているのかな?

全編にわたって、柔和な響きが印象的。何と言ってもサンジュレの第1楽章…美しい調和の響きから始まり、幾度もの増進と後退を経ながら、クライマックス眼前に広がる音世界の、すばらしく大きいスケール!たったひとつの楽章を聴くだけで、ここまでのドラマを感じさせる演奏というのは、あまり聴いたことがない。というか、サンジュレをCDで聴いて感動したというのも、びっくり。

デザンクロも、良い意味で力の抜けた演奏で、たとえば第3楽章のアレグロ・エネルジコの部分など、とても新鮮に聴こえる。各プレイヤーの持つ音色の美しさに加え(メンバー表を見るだけで驚きだものな)、それらを絶妙なバランスで融合させているということなのだろう。こんな演奏を、ライヴで聴いてみたい!…といっても、15年も前の録音なのだな。

後半に収録されたフルートアンサンブルのほうがエッジが立つ演奏で、サクソフォンアンサンブルのほうがよほど柔らかな響きに聴こえたというのも、おかしな話だ。

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