2009/06/28

塙美里サクソフォンリサイタルDVD&CD

PC環境、ネット環境が揃わなかったため、すっかりご紹介が遅れてしまったが、塙美里さんのご両親から、塙さんの3月のリサイタルのDVDとCDを送って頂いた。

A.カタラーニ - 歌劇「ワリー」より
C.ドビュッシー - ラプソディ
C.フランク/塙美里 - ヴァイオリンソナタ
J.ワイルドバーガー - ポートレイト
M.ブルッフ/塙美里 - コル・ニドライ 他
R.シューマン - アダージョとアレグロ
J.B.サンジュレー - デュオ・コンチェルタント
~アンコール~
J.オッフェンバック - 舟歌
G.テレマン - ファンテジーより

という、超弩級のプログラムで、演奏会の案内としてこのリストを頂いたときは、実に驚いた。サクソフォンのリサイタルにありがちな、現代作品ばかりを並べるプログラムではなく、ドビュッシーのような古典的名曲、さらにトランスものを多く含んだ意欲的なもの!中途半端にぶつかっていけば、間違いなく跳ね返される名曲の数々である。

とくに、20分以上にわたって強靭な集中力を保つフランクの演奏にしびれた。まるでセッション録音でも聴いているような感じ…というのは、4楽章になっても一切にフレーズの持続力が揺らがないのだ。これはDVDでもCDでも同じ印象で、なんというか惹き付けられますね。音色の変化もダイナミクスも、ドラマティックな後半に向けて爆発していく感じ。演奏者はかなり大変そうだが(笑)。服部真由子さんのピアノも、弱音における表現力が実に素敵だ。

フランクって、管楽器へのトランスクリプションはやや物足りない感じもすることが多いのだが、このくらいゆたかな表現力を聴くと、まだまだ管楽器も負けていないぞ、と思う。弦楽器の表現力の幅には、まだまだ学ぶところが多いということだろう。

ワイルドバーガーも良いなあ。特殊奏法を数々に織り交ぜた無伴奏作品なのだが、これはまさに、曲が演奏者の能力を引き出している、という表現が正しいのではないだろうか。DVDを観ると、暗闇の中でスポットを当てられて演奏されており、ある種のトリップ状態に陥りそうになる。原博巳さんと演奏されているサンジュレは、楽しさと可愛らしさが会場全体に向けて花開く。大曲が続いていた後だけに、なおいっそうほっとする演奏だ。

DVDのほうでは、演奏曲に加えてインタビューの様子も収録されており、演奏会全体の様子をしっかりと俯瞰することができた。当日は飛行機の遅延やらバスの接続の悪さやらなんやらでアンコールしか聴けなかった、ということは以前も書いたが、このDVDを観て、演奏会の暖かい雰囲気が伝わってきた。CDとDVDを送ってくださった塙美里さんと塙さんのご両親に感謝申し上げる次第。

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