2008/11/20

川崎でのコングレスの描写

Thomas Liley著「The Brief History of the World Saxophone Congress」の中から、日本でサクソフォン・コングレスが開かれたときの様子を描写した部分を要約してみた。日本サクソフォーン協会のページにある松沢増保著「J.S.A.20年の歩み - コングレスの記録」と重なる部分が多いが、私自身は初めて知ったこともたくさんあった。

うーん、今となってはかなわぬ願いだが、ぜひ会場で聴きたかったなあ。

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第9回世界サクソフォンコングレス(1988.8.10 - 1988.8.14)

世界サクソフォン・コングレス史上、最も"文化的に"離れた場所で開かれたのが、日本の川崎市と横浜市で開かれた第9回のコングレスだろう。神奈川県の文化交流政策にも後押しされて、日本サクソフォーン協会の主催により、開催された。ちなみに、当時の会長は阪口新氏である。残念なことに、実行委員長であった大室勇一氏は、開催を待たずして三ヶ月の闘病生活の後に急逝した(7月3日)。

コングレスは、初日朝のオープニングコンサートから始まった。68名のメンバーによるサクソフォン・オーケストラで、伊藤康英氏と櫛田氏のオリジナル作品が演奏され、その後は麻生市民会館ののコンサートホールで、各国の演奏会によるパフォーマンスが行われた。参加国は、日本、ベルギー、スウェーデン、カナダ、イタリア、オーストラリア、アメリカである。イブニング・コンサートではハーヴェイ・ピッテルによってダールの「協奏曲」他が演奏され、さらにキャトル・ロゾー、ニューヨークSQが四重奏を披露した。

木曜日は、前日の参加国に加えてイギリスの奏者も加わった。バビット、ロベール、ルジエーロ、ギリングハムらの新作が演奏されるなどした。イブニング・コンサートでの出演者は、武藤賢一郎氏(デニゾフ、バツォーニ)と、ミシェル・ヌオー氏(ロベール)。さらに東京サクソフォン・アンサンブルがバルトークの作品他を、フルモー四重奏団がベルノーを演奏した。

金曜日は、午前中は演奏会が連続して行われていたが、午後は観光のために一時演奏は休止した。麻生市民会館を出発したバスは観光地を経て、神奈川県立音楽堂へ。「協奏曲の夕べ」と題された演奏会では、5組の独奏を迎えて次のようなプログラムが演奏された。オーケストラは、大野和士指揮東京都交響楽団。サンドロフの協奏曲は、大室勇一氏の追悼として書かれたものである。大室勇一氏は、ヘムケ氏の生徒だったのだ。

J.M.ロンデックス:グラズノフ「協奏曲」
デファイエSQ:カルメル「コンチェルト・グロッソ」
F.ヘムケ:サンドロフ「ウィンド・シンセサイザーのための協奏曲」
E.ルソー:ハイデン「ファンタジア・コンチェルタンテ」
須川展也:伊藤康英「協奏曲」

土曜の午前には、作曲家フォーラムが開かれ、午後からは再び演奏会が始まった。ウッズ、サンジュレ、カーリンズの作品などが演奏され、クリスチャン・ロバの新作も披露された。夕方には実行委員会によるミーティングが開かれた。イブニング・コンサートでは、ジョン・サンペン、オランダSQ、クロード・ドゥラングルなどが演奏を披露した。

そして、日曜が最終日。フェルド、ヴィラ=ロボス、ヒンデミットらの作品が演奏され、初演も多数(ベダールやロバなど)。トリとして、シャブリエの作品とヨハン・シュトラウス二世の作品がサクソフォン・オーケストラによって演奏され、「さよならパーティ」によって全日程が終了した。

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