2008/10/31

ダール「協奏曲」の初演ライヴ録音

The Legendary Saxophonists Collectionから。

インゴルフ・ダール Ingolf Dahlの「協奏曲」と言えば、数あるサクソフォンのための協奏曲の中でも、最も充実した作品のひとつである。サクソフォンに専門的に取り組んでいる方々でも登攀しがたい独奏パートの難易度に加え、さらにバックのバンドも非常に難しいということで、実演を聴く機会/録音される機会、どちらもあまりないほどのものだ。

独奏パートがここまで難しくなってしまった理由としては、やはり作曲者がこの作品を献呈したのがシガード・ラッシャー Sigurd Rascherであった、というところが大きい。彼ほどの名手がアメリカにいたからこそ、こんな作品が生まれた…この作品の誕生は、ほぼ100%がラッシャーの功績によるものである、とも言えるだろう。

さて、そんなダールの「協奏曲」であるが、幾度かの改訂を経て現在の形に落ち着いたのは、これまでもこのブログ上で何度も述べてきたとおり。それでは、改訂前の初演時のバージョンはいったいどんな響きがしていたのだろうか?という疑問は、自然と出てくるものだと思う。ここで紹介する録音は、そんな疑問に答えるものだ。そう、ダールの「協奏曲」が初演されたときの、ライヴ録音を復刻したものなのだ!

録音データを見てみよう:
University of Illinois Symphonic Band
Mark H. Hindsley, Conductor
Recorded Live 19:00 May 17, 1949
University of Illinois Hall

なんと、1949年の録音。バックはイリノイ州立大学の吹奏楽団。おそるおそる再生すると、想像を超えるほどの音質の悪さ(笑)!だが、聴き進めていくうちに、原典版大きな音楽の流れに飲み込まれてしまいそうにもなる。ラッシャーの技巧は冴えまくっており、どんな音域にあっても、自在にサクソフォンを操っている様子を聴き取ることができた。また、原典版の作品の様子だが、中間部から最終部にかけては、曲の構造にもかなり手が加えられているように聴こえる。

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