2008/07/18

Saxophone à la Française

ニコラ・プロスト Nicolas Prost氏は、フランスのサクソフォン奏者。演奏家としての顔のほかに、サクソフォンの研究家としての顔を持つのだが、この度、そのプロスト氏の研究成果が、書籍として発売された。

「Saxophone à la Française」というタイトルの、A5変形版の本。フランス語、全126ページ、20ユーロ。フランスにおけるサクソフォンを、主にクラシックの方面で、歴史・プレイヤー(インタビュー)・録音・作品などといった切り口から幅広く俯瞰したものである。

サクソフォンに関する事柄を体系的に、というよりも「資料によるエッセイ」といった趣で、ページをめくれば種々のデータが目に飛び込んでくる。日本においては、フランスのサクソフォン界の情報はかなりの量が輸入されているものだと感じていたのだが(楽譜、CD、帰国生)、この本を眺めてその考えが変わった。私たちは、フランスのサクソフォン界について、まだ未知の部分が多すぎなのだ。

・序論
・概要
・サクソフォンの黎明期
・サクソフォン・ルネッサンス期
・クラシカルな楽器としての確立
・フランスにおけるサクソフォンのブーム
・新しい表現を追い求める人たち
・現代のサクソフォン
・サクソフォン教育
・レパートリー
・フランスのサクソフォン奏者
・フランス風、とは?
・サクソフォンの他の側面
・コーダ
・付録

このような話の流れの中で、書籍中に付属している資料が、まさに圧巻である。参照すべき録音の列挙(タイトル+型番)、コンクールの入賞者リスト、国立音楽院サクソフォン科教授一覧、パリ国立高等音楽院卒業生リスト、オーケストラの中にサクソフォンが含まれている作品リスト、サクソフォンが含まれた管楽合奏曲リスト、そのほか。

ヴィブラートや音色フランスの管楽器文化から、プロスト氏自身が、「フランス風のサクソフォン」とは何ぞや?といったことを論じている部分も、注目だろう。また、プロスト氏の投げかけに対して、クロード・ドゥラングル、ジャン=マリー・ロンデックス、ダニエル・ケンジー、オーティス・マーフィーらがそれぞれの考えを述べている部分も、見ものである。「フランスのサクソフォン、と言われて、あなたが思い起こすものは何ですか?」という質問に、この大御所サクソフォニストたちが答えているのだ!

購入に関しては、ちょっと探せばいろんなところで売っているが、私はVandorenから買った。しかしこの本、日本語で書かれていたらなあ…いや、せめて英語だったら!そんなわけで、ほとんど詳しく読めていないのが残念。

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