2008/03/15

デファイエQの放送録音

静岡在住のアマチュアのサクソフォン吹き、Aさんから頂戴した、デファイエ四重奏団の放送用録音についてご紹介したい。1975年の3月から4月にかけて、デファイエ四重奏団のメンバー全員が来日し、リサイタル(デファイエソロ、四重奏)、クリニック、レクチャーコンサート、放送テープへの吹き込み等を行った。まずご紹介するのは、1975年4月2日にNHKのスタジオにて「NHK-FMリサイタル」として収録された録音である。放送は、同年5月5日 22:40~。

Daniel Deffayet ダニエル・デファイエ, saxo soprano
Henri Rene Pollin アンリ=ルネ・ポラン, saxo alto
Jacques Terry ジャック・テリー, saxo tenor
Jean Ledieu ジャン・ルデュー, saxo baryton
曲目:
J.Rivier - Grave et Presto
D.Scarlatti - Trois pieces
W.A.Mozart - Aver Verum Corps
L.Boccherini - Menuet
I.Albeniz - Sevilla
P.Vellones - Valse chromatique
R.Clerisse - Cache Cache

これを送っていただいた直後に、木下直人さんからも同じ音源を頂戴した。木下さんから頂いたものには、「Dream Music SR-70642」の表記があるのだが、もしや出版されていたのだろうか(今度、出どころを訊いてみなければ)。演奏は、ライヴ録音そのまま…ということなのだろうか。

たとえば「3つの小品」なんて、名演とされるCBSソニー盤よりも勢いがあって、個人的にはこちらのほうがお気に入りだ。もちろん、第3楽章でのミスもない。CBSソニー盤を聴いたことがある方はお気づきだろうが、本来AABBと演奏されるところ、CBSソニーのLPではなぜかABBBになっているのだ。編集のミスのためだという話を、どこかで聞いたことがある。

----------

もうひとつ。今度は1978年の来日時に、やはりNHKのスタジオで吹き込みを行った録音。放送自体は1979年のようであるが。番組は「NHK-FMクラシックアワー」。あ、解説の女の人の声が同じだ。

曲目:
F.Schmitt - Quatuor op.102
E.Lejet - Quatuor en cinq mouvements (Musique pour quatuor)
J.Francaix - Petit quatuor

シュミット、フランセは、LPへの吹き込みも行っているためお馴染みであるが、エディット・ルジェ Edith Lejetという作曲家の名前は初めて聞いた。調べてみたところ、1941年生まれ、リヴィエ、ミヨー、ジョリヴェに師事したフランスの作曲家で、サクソフォンの作品も数多く手がけているようだ。収録されている「四重奏曲」は1973年から1974年にかけて作曲され、デファイエ四重奏団に献呈されているが、そのほか多くのサクソフォニストのために作品を書いたとのころ(1986年には、ドゥラングル氏のために2つの作品を書いている)。

ところで、「エディット」という発音を聞いて、プーランクの「エディット・ピアフ賛」を思い出せず、スペルの調べが直ぐにつかなかったのが悔やまれる。Gee氏の著作の中で、たまたま名前を発見しなかったら、作曲家の正体がわからず終いだったかもしれない。

それはさておき、このルジェ作品、なかなかすごい演奏だ。Aさんも自身の日記の中で書いていらっしゃったが、ルジェの作品の中でデファイエ四重奏団がスラップタンギング(!)を使用しているのを聴き取ることができる。さらに終楽章ではフラジオも当てまくり、微分音も使用(たぶん)。驚異的な集中力に圧倒される。

シュミットは、第1楽章こそ乗り切れていない感じがするが、終楽章に向けて集中力が鰻上り。最後はスタイリッシュに決まります、さすが。ルジェの作品はワケの分からない曲ではなく、不思議と聴きやすいのは、フランスの作品だから?少なくとも、超個人的な感覚としてはティスネよりは面白いと思うのだが。フランセもとても楽しそうで、聴いているこちらがウキウキしてくる。

1975年、1979年の録音だなんて、日本中を探してもあまり残っていないだろうなあ。貴重な音源をお譲りいただき、ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿