2007/10/08

Daniel Kientzy「Saxologie(Saxology)」

ダニエル・ケンジー氏の著作「SAXOLOGIE ~du potentiel acoustico - expressif des 7 saxophones(NOVA MUSICA)」を購入。サクソフォンからひねり出すことが可能なありとあらゆる(アコースティックな)奏法を、フランス語と豊富な図表にて解説した本で、全595ページに及ぶ分厚い書籍だ。今回、Adolphesax.comのダニエル・デュラン氏を始めとするチームの方々のご尽力により無事入手することができた。この場を借りて感謝申し上げます。

さて、おおよその内容は、以下の通り:

・サクソフォンの歴史・倍音系列・部品等について述べられた基本データ
・100の特殊奏法ひとつひとつについて、ひたすら解説
・付録CDの楽譜(ソロパート&スコア)

中でもメインの特殊奏法の章が、想像以上に詳しく解説してある。ざーっと図だけ眺めてみたが、どこまでもどこまでも濃い(^^;;;;面白いと感じたのは、どの奏法も基本的に倍音列によって分離されていること。サックスという楽器を極限までシンプルに捉えたのち、原点を出発点として「特殊奏法」というテクニックを照射していくような眼差しを感じる。

以下に、特殊奏法の章の内容を2つほど挙げてみます。

(例1)トリルの項。譜例と解説の後、奏法から奏法への連結が容易かどうかというテーブルが示され、続いてソプラニーノからコントラバスまでトリルが実用に耐える速度で可能かどうか、一音一音について35ページに渡って示される。たとえばソプラニーノサックスにおける、レ+1/4(微分音)と以下の音をトリルする時、どの程度の速度で可能かというテーブルは、次のようになるらしい。
とても速い:なし
速い:ミ+1/4、ファ#-1/4
ふつう:ソ#、シb
遅い:ミ、ファ、ソ、ラb、ラ、シ、ド
とても遅い:ミb、ラ+1/4

(例2)サックスを2本くわえて吹く、BIPHONIE奏法の項。何と何を組み合わせたときに、どの音の組み合わせが可能か、というのを詳細に示してある。たとえば、バスサックスとアルトサックスの組み合わせならば、バスでド#を伸ばしながら、アルトの最低音シb~オクターブ上がった左手ミ辺りまでが、容易に可能。最高でもファ~ド#まで(それ以上は、息のスピードの関係で厳しいようだ)。

…うーん、凄い本だ。フランス語がまったくわからず、なかなか読み進められないダメっぷりを発揮しているが、手元に置いておいて損はない。というか、手元に置いただけで満足だったりして(笑)。まあ、大変だが少しずつ解読していこうと思っている。

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