エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニーの、ミンスク・フィルハーモニーホールにおける1983年11年20日の演奏会ライヴ映像、なんてものが存在する。その映像がずっと前にNHKの芸術劇場で放映されたらしいのだが、その際実家の父がビデオに録画していたらしく、送ってもらった。プログラムはシューベルトの「未完成」と、ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」。もちろん、目的はショスタコ。
ショスタコーヴィチの個人的ベストは、ムラヴィンスキー指揮レニフィルの1982年11月18日のライヴ盤。Scoraから発売されているもので、いったい今までに何回聴いただろうか。今回、父から送ってもらったビデオは1983年のライヴ版との事で、比較的時期が近いこともあり、近い解釈が聴けるだろうと楽しみにしていたのだが…。
映像は、意外とクリア。音質はイマイチだが(そもそもこの時放映されたNHK所有のマスター・テープ自体、ダビング物だったという話すらある)、演奏を楽しむには十分だ。第1楽章冒頭から、期待通りのスピードと音色!やはり、Scora盤との差はわずか1年ということもあり、さすがにほとんど解釈が変化していない。前半部、かなり管楽器全体の調子が悪く聴こえるが、だんだんと乗ってきて、第4楽章の中間部での弱奏から、「歓喜」の終結部あたりは本領発揮。ちなみに弦は、いつもの調子でアンサンブル凄すぎ。さすがレニフィル。
ムラヴィンスキーの指揮姿を中心に捉えているのだが、こんなおっそろしい顔に演奏中に睨まれたら、泣いてしまいそうだ。視線を巧みに使いながら、オーケストラのバランスをコントロールしていく様子が確認できるのが、なかなか楽しい。そういえば、ムラヴィンスキー、第2楽章・諧謔的スケルツォの冒頭で、なぜか一瞬だけ見せた「ニヤッ」とした顔が忘れられないなあ。どうしたんだろ?
というわけで、映像付のショスタコーヴィチ「第5番」としては、なかなか秀逸なメディアであった。DVDとかにはならないのかな?時間ができたら、シューベルトのほうもじっくり観てみよう。
はじめて投稿いたします。
返信削除1983年のミンスクのライブですが、確か以前、東芝でLDやビデオで発売されていたものではないでしょうか?
そういえば、DVDになったという話は聞かないですね。出たら、是非ほしい映像の1つです。
> 塩寿様
返信削除こんにちは。コメントありがとうございます。
ちょっと調べてみたところ、確かにTOLW-3667という型番で発売されていたそうですね。そちらの収録日も1983年11月20日ですし、どうやら間違いないと思われます。しかし、まさかメディアで発売されていたとは…まったく知りませんでした。
DVDにはなっていないようですね。期待できるとしたら東芝EMIからの再発でしょうか?この映像の権利って、いまどこが持っているのでしょうね…。
とても魅力的な記事でした。
返信削除また遊びに来ます!!
kuriさん、こんにちは。
返信削除録り貯めた多数のビデオテープをいいかげん整理せにゃあかんなと、
久しぶりにこの映像を観て、何となくこのライブについてネット検索し、
この記事のご掲載から10年、本日おじゃますることになりました。
第二楽章冒頭のニヤケ顔、ご指摘を見るまで気がつきませんでした。
これはどう考えても、期待以上のチェロの頑張りに対して、
思わず目での合図とマユを押し上げた嬉しい瞬間を捉えていますね!
このシーンだけでマエストロとオケの強い信頼関係が伝わってきます。
実は生前、ムラヴィンスキー来日東京公演の席を確保していたのですが、
招聘会社の破産で公演キャンセルされてしまったことがあります。
(当時の学生にとってB席8,000円は痛い損害でしたが。)
公演が本当に幻となった身として、この映像には感慨深いものがあります。
記事を見つけてくださってありがとうございます。
返信削除私はそれほどレニングラード・フィルやムラヴィンスキーに詳しいわけではないのですが、たまたま目にすることになり、集中力の高い演奏に唸らされました。
ちなみに、当時はまさに幻の映像、という感じでしたが、さすがネット時代、YouTubeにもアップされているようです…。