2007/08/01

高橋悠治作品の楽譜

高橋悠治氏は、いわずと知れた日本を代表するピアニスト・作曲家。ベルリンでクセナキスに協力し、帰国後はやや音楽集団「水牛集団」を結成するなど話題を呼んだ。現代音楽への(演奏・作曲両面からの)積極的アプローチ、数々の著作の発表(特に政治に絡んだものが多い)、など、ほかの日本の作曲家とは一線を画すユニークな活動を続けている。右的発言をまったく厭わないその姿は、ちょっと驚くほどのものもあり。

その高橋氏、2006年にサクソフォン奏者の栃尾克樹との作曲・ピアノでの共演をしている。シューマンやフォーレの作品でピアノを弾いたほか、シューベルトの歌曲「民衆に訴える」のバリトンサックス+ピアノ版への編曲、そして栃尾氏からの委嘱作品「影の庭」の作曲も行った。私自身は聴きに行けず悔しい思いをしたのだが、大学の知人から話を聞くに、なかなかすばらしいリサイタルだったようだ。

最近では、マイスター・ミュージックから「影の庭」としてアルバムが発売され、その2006年のリサイタルを思い起こさせるようなプログラムをCDで聴くことができるようになったのがうれしいところ。…買わなきゃ!

で、本題。高橋悠治氏の作品、自身のサイトでほとんどの作品の楽譜が公開されているのだが、バリトンサックスのための「民衆に訴える」「影の庭」も、ご多分に漏れずしっかりとリストにあがっているのだ。下記URLから、[japanese]→[作品・楽譜]と辿ることで、PDFファイルをダウンロードできるサイトに飛ぶことができる。

http://www.suigyu.com/yuji/

ここでは「影の庭」楽譜に記された序文を引用しておこう:

旋律素材はマーラーの「少年の不思議な角笛」より
「この世の暮らし」そのほかの
飢えた子供、政治犯、死んだ兵士の歌

沈黙を聴く
周りの音を意識する
区切り、強弱、音色のしなやかな変化

栃尾克樹の委嘱による

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というように、テーマとしてはかなりに民衆寄りな意味合いをもつ作品だが、音楽として純粋に見ると、大変に面白いものとなっている。楽譜が公開されていることもあって、これから演奏機会が増えれば良いなあ、と。

ちなみにピアニストとしての高橋悠治氏は、以下のYouTubeのムービーを観ていただくのが良いかと。クセナキス「ヘルマ」の演奏映像(強烈!!)。実はまだ生で聴いたことがないので、いつかコンサートに行ってみたいと思いつつ、先延ばしになっている。

http://www.youtube.com/watch?v=fKu4MJNbsfI

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