2007/02/07

ブロディ×ロンデックス

なんだか最近CDの紹介が多いなあ(卒論シーズンにたまった、紹介したいCDがたくさんあるので、しょうがないのです)。今回ご紹介するのは、eBayをウロウロしているときに見つけた、サクソフォンデュオのCD。カナダのサクソフォン奏者ポール・ブロディ Paul Brodie氏と、フランスの重鎮ジャン=マリー・ロンデックス Jean-Marie Londeix氏のデュエットという珍版。

まず、ちょっとサクソフォンをかじったことのある方だったら、ロンデックスの名前には「ぴーん」と反応するんじゃなかろうか。マルティノン×フランス国立放送フィルのドビュッシー「ラプソディ」独奏として、またEMIへ大量のサクソフォーンソロの録音を残し、デニゾフ「ソナタ」を始めとする数々のサクソフォーンのための委嘱を行い、名著「ハロー!ミスター・サックス」「サクソフォーン音楽の125年」を編纂し、ボルドー音楽院教授として後進の育成にも力を注ぎ(書ききれない)…ある意味、クラシカルサクソフォーンの世界における最たる功労者の一人とも言える有名な音楽家だ。

もう一人のポール・ブロディは、日本では余り知られていないかもしれないが、1960年代から精力的にコンサートを行い、世界を股に駆けて合計2500回を越す演奏会、50枚を越すアルバムへの録音を行ったという、こちらもすごいサクソフォーン奏者。イギリスのクレシェンド誌は、ブロディ氏を"Ambassador of the Saxophone"と評したそうだが、まさにそんなイメージの音楽家か。

どちらもかなり強烈なプロフィールの持ち主であることは間違いないとして、いったいどんな経緯で共演が実現したのかは、興味あるところだ。

さて、本CDは、もともとCrestに吹き込まれていたLP(1975年録音)を、CD-Rにて復刻したもの。復刻CDを作成したのはブロディ氏自身のようで、しかもeBayから届いた商品を見てみると、差出人にははっきりと"Paul Brodie"の文字が。あ、出品しているのもブロディ氏ご本人なのですね。ジャケットに、私宛のサインもしてあった(ちょっと嬉しい)。

収録曲は以下のとおり。もともとLPなので、収録時間は短め。ルクレールの「デュオ・ヴァイオリンのためのソナタ」は、ロンデックスによる編曲譜だろう。テレマンもロンデックスの編曲なのだろうか?

・Telemann - Canonic Sonata No.1
・Telemann - Canonic Sonata No.2
・Telemann - Canonic Sonata No.3
・Telemann - Canonic Sonata No.6
・Leclair - Sonata in C
・Leclair - Sonata in F
・Leclair - Sonata in A flat

編曲者であるロンデックス自身の演奏で聴ける…というのは、資料価値が高いと思うが、このCDの魅力はそこで終わらない。ここには、音楽を奏でる喜びが凝縮されている!現代の録音に比べるとずっと音は悪いし、Crest特有の残響も耳につくけれど、演奏が本当に楽しげで、聴きながら思わず微笑んでしまうのだ。

普通に演奏すればつまらないだけのサクソフォーン・デュオの曲が、偉大な2人の音楽家に生命を吹き込まれて生き生きと動き出す様は、一聴の価値あり。もちろん、ロンデックスファンにもオススメです。

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