2006/05/27

Reminiscence

サックスのCDを集め始めたのは、そもそもデザンクロ「四重奏曲」の録音を集め始めたのがきっかけだったが、そういえば初期にゲットしたCDの中にこんなCDがあった。アレクサンドル四重奏団の「Reminiscence(Societe nouvelle d'enregistrement SNE-566)」。風邪で寝込みながら久々に引っ張り出して聴いていた。

ライナーの中に団体紹介がほとんど書いていないので団体についての詳細が良く分からないが、ケベック四重奏団のメンバーをほぼ引き継ぎ、グラズノフに敬意を表してアレクサンドル四重奏団と改名したカナダの団体のようだ。ソプラノはソリストとしても有名なダニエル・ゴーティエ。バリトン奏者のジャン・フレシェッテは女性?現在もまだ活動しているのかな。

CD自体はかなり昔の出版で、出版&録音はなんと1990年!すぐには想像がつかないが、湾岸戦争はこのころか?大学入試センター試験もこの年からか…。まあとにかく、とっても昔であることに間違いはない!そのためかどうなのか、届いたときからブックレットがカビ臭いというオマケつき。

プログラムはデザンクロ、グラズノフ、ラクール、パイロン。デザンクロとグラズノフはオーソドックス。

ラクール「四重奏曲」は、サックス吹きが皆お世話になるあの練習曲の作曲者と同一人物で、マルセル・ミュールの四重奏団にテナー奏者として参加もしていたサクソフォン奏者&作曲家。曲はエレジー、スケルツォ、フィナーレの三楽章構成。パッサカリア風のエレジーから徐々に集中度が増し、フィナーレは演奏技法上かなり高度であるが、フレンチ・スクール特有の艶っぽさも感じられる。使われている音列が12音に基づいているため、エチュードのような耳に優しい旋律を想像してるとかなり面食らう(笑)。

パイロン「トランスペアレンス」は、ロンド形式の現代風楽曲。冒頭に現れるモチーフが何度にもわたって変形され、サックスの特殊機能を引き出しながら進んでゆく。一見するとそのへんのゲンダイオンガクと違いがないように見えるが、変形手法がかなり精密に構成されており音楽的にも良い内容の傑作だ。

とくにソプラノのちょっと鼻にかかったような音色が印象深い。アーティキュレーションや音程が確実に揃えられつつ、情熱的に推進する音楽。一地方のサクソフォーン四重奏団にしてはかなりレベル高いです。マイナーな団体のわりにはことあるごとによく聴いているなあ…。ラクールを高レベルで聴けるのは良いし、グラズノフやデザンクロには楽譜に対する(作曲家に対する)真摯な態度、パイロンのような現代作品にあっても愛着をもって積極的に表現しようとするなど、どの曲でも手抜きなしの真剣勝負。内容が凝縮された素敵な演奏だ。

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