2006/04/22

変奏曲によせて

西洋には「変奏曲」がなんと多いことか。ともすれば考えられないほど長大で、日本人の感覚からすれば退屈とも思われる変奏曲がいくつもあるだろう。巷にある傑作変奏曲は数知れないが、バロックから古典派の時代にかけてヨーロッパの貴族社会を席巻したロココ趣味の風潮がそんなアイデアを生み出したのだという。なるほど、単純な主題を着飾って派手に見せる「変奏」はまさに「ロココ風」音楽と言ったところだろう。

さて、変奏曲といえばコレルリ「ラ・フォリア」、バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番終曲『シャコンヌ』」や、モーツァルト「『ねえ、お母さん聞いて』の主題による変奏曲」などは有名だろう。しかしもっとも人気があるものといえば、やはりパガニーニ「ヴァイオリンによる24のカプリス」の第24番ではないだろうか。カプリス第24番はそれ自体が主題+11の変奏+終曲で構成された無伴奏ヴァイオリンのための超絶技巧変奏曲だが、後の作曲家たちは、この主題を使用してさまざまに作品を作り上げてきたのだ。

ラフマニノフの「狂詩曲」やリストの「超絶技巧変奏曲」、ブラームスの「変奏曲」など一般に知られたもの以外にも、吹奏楽のためのジェームス・バーンズ「幻想的変奏曲」やロイド=ウェーバーによるチェロとジャズバンドのための「変奏曲」など比較的マイナーな作品があってと面白い。主題が良くできているため中途半端な変奏でもかなり聞こえが良いのは皮肉だが(ラフマニノフと他を比べちゃイケマセン)それぞれの音楽家たちのオリジナリティが溢れている。

ネット上にもいくつかあったのだが、そのうちのお気に入りを紹介。アメリカの作曲家ロバート・ムチンスキーによるピアノソロのための「Desperate Measures」というパガニーニ主題を使用した変奏曲。出てくるコードが不意にジャズ風だったりしてカッコイイ。こちら(→http://www.soundclick.com/player/single_player.cfm?songid=3069152&q=hi)で全部聴けるので、ぜひどうぞ。あとオリジナルをロック風に打ち込みしたものも発見(→http://www.archive.org/download/Caprice24/Paganini_Caprice24.mp3)。うーん…?

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